夢の始まり〈中篇〉
「あの~」
「ん?」
遠慮がちに声をかけると、一番近くにいた銀髪の少年が胡乱気な目でシン達を見てきた。
「なんだ貴様たちは…」
き━…
「貴様ぁ!?」
「うんゎーι、めちゃくちゃ俺様系兄ちゃん?」
「あら、ツンデレ系かもよ?」
鋭い目でこちらを睨んでくるその少年を、俺達と同い年くらいだと思われる少年が「イザーク!」と咎める。
こっちも興奮した俺をリンが宥めてくれた。
そんな中、四人の中で一番背の高い金髪褐色肌の人が「で?」と話を進めるよう俺達に先を促す。
「坊やと嬢ちゃんは俺達に何の用なわけ?」
「坊やぁあ?!!」
その呼び方に又もシンの神経は逆撫された。
ちょっと気になるぐらいだったのだが…
シンの中でプチンッ!と何かが切れた。
「あんた達こそ、こんな所で何やってんだよ!!モルゲンレーテの社員なら早く仕事に戻れよ!!」
そう言えば、ギクリと音が聞こえてきそうな程に少年━━イザークが反応した。
(何かあるな…これは)
(馬鹿正直すぎる反応ねι)
それを隠すようにイザークを制して褐色肌の少年が前に出た。
「ぁあ~。俺達、いまは休憩中なんだよね」
「ふ~ん」
如何にも疑ってます、といった感じのシンの態度にも平気だった彼だが…
「じゃあ、いつ入ったんだよ」
「へえ…?」
流石にこれには彼もすぐには言葉が出なかった。
「え~とぉ、最近だったか…」
「じゃあ、部署名は?」
「え゙っ?!」
「上司のフルネームは?住んでる場所の地名は?アドレスは!!」
矢継ぎ早の問い掛けに少年はゔっと言葉に詰まり、一歩引いてしまった。
しばらく沈黙が続たが、リンの一声でシンは此処、モルゲンレーテに来た本当の目的を思い出した。
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