夢の始まり〈中篇〉
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「━━そう、順調じゃないの。始めは勘違いかもって、少し…心配だったけど」
「サンキュ!リン。
お陰でキラさんとは『仲の良いお友達』レベルには、なってると思うぜ」
まるで今日の雲一つない空のように晴れやか笑顔を見せるシンに、リンは心底安心した。
自分の余計なお節介で上手くいかなかったらと案じていたけれど━…
よかった、とリンも笑顔で応えた。
小鳥の囀りが聞こえる空の下、三人は本来立入禁止となっている筈の屋上で昼食を食べていた。
ここは探険好きのロディーが見つけた三人の昼食&休憩場所。
屋上の鍵が、本でしか見たことのない『南京錠』…ってやつで、しかも壊れてたと言っていた。
今ではシンもこの場所を気に入っている。
「へほ、ひはひははあ~」
いままで夢中でサンドウィッチを口一杯に頬張っていたロディーが、いきなりモゴモゴと何かを伝えてきた。
「何がだよ」
「シンι…あんたよくロディーが言ってること解るわね…」
「何となくだけど…な」
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