夢の始まり〈前篇〉




「……」

妹は黙々と朝ごはんを食べているだけだった。



今日は自分でも珍しく一人で起きれたから、マユの手は煩わしてない=(イコール)マユが機嫌が悪くなる原因は俺にはない。



━━はず、なんだが…




「マッ、マユ…ι」



「…何」


「俺…何かしたか?」




「……別に。…なんでそう思うの」




(なんでって言われてもなぁ~ι)



「なっ…何となく…?」

━━としか言いようがない。




「………そぅ。じゃあ、マユも何となく、キラさんのお迎えに行きたくなくなっただけ…」



「はあっ?」


訳が分からない。
数日前までは、この日を指折り数えて、楽しそうに待っていたというのに…




━━なんで…




「……早く食べないと、お父さん食べ終わっちゃうよ」




「…へっ?」


自分の全く減っていない朝食を見た後に目の前に据わる父の食事を見ると……


トーストが半分とサラダが少し残っているだけだった。


「わあーーっ!ちょっ!
父さん、ちょっと待って!!」




殆んど牛乳で流し込むように食べているシンを見て、マユは小さく息をついた。


「……はぁー」


(まったく、お兄ちゃんは世話が焼けるんだから…)

これからの兄の先行きに、とてつもなく不安を感じるマユだった。



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