夢の始まり〈前篇〉





タタタタタッ

「お父さん!お母さん!大変だよ!!」


ダイニングには新聞を読んでいる父と、朝食をテーブルに並べている母のいつもの姿があった。

「どうした?マユ。そんなに慌てて」


「また、シンが起きないの?」


「ちぃ~がぁ~うぅ!
逆だよ。お兄ちゃんが起きてるの!!」



二人はマユの言ったことに顔を見合わせ、そして苦笑した。

「まぁっv」

「ほぉーっ」




「……それだけ!?
何で、お父さんもお母さんも、もっと驚かないの!」



自分にとってはこんな大事件は今まで合った事がないというのに!


「ふふっ マユ。これでも、お母さん達はちゃーんと驚いてるわよぉvV」


ねぇー 貴方?と夫に笑顔で訊ねる妻に此方も、あぁ、と頷いて返す。


「とっても驚いているよ、マユ」




(嘘だー、全っ然!そうは見えないんだけどぉ…。
なんかマユ、一人が慌てて馬鹿みたいだよ~(泣))




「何が驚くんだ…?」



「ひゃあっ!?…お兄ちゃん!」


「あら、シン。おはよう、今日は随分早いのね」


「おはよう、シン。本当に早いなぁ」



「あぁ、あんま寝てない筈なんだけど…」

ガシガシと頭をかきながら椅子に座ると後ろにいたマユも遅れて隣に座る。


「朝になったら…目が覚めたんだ」



そうなの?と頬に手をあて首を傾げたが、大して気にしてる様子はなかった。

「でも、それなら、ちょっと良いわね。朝食を食べ終わったら、お父さんと一緒にキラちゃんを迎えに行ってくれないかしら」



━━キョトン

「…えっ? 俺が…?」



「あら、嫌だった?」


「いっ///、嫌じゃない!
…けど」


━━けど、俺の記憶が正しければ、彼女を迎えに行くのは父さんとマユだったような…。


そう思ってチラリと横目で朝食を食べている妹を見る。



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