夢の始まり〈前篇〉
カチ カチ カチ カチ
「……う…んっ」
カチ カチ カチッ!
ジリリリィー――ッ!!
「………」
ジリリ…リン
ムクッ
「お…起きれた。俺…
一人で…夢みてぇ」
シンは寝起きが悪い。
そんな事は誰に言われなくても自分が一番よく分かっていた。
学校のイベント(運動会や遠足)にも遅刻したことのあるシンにとって、この朝の出来事は、正に青天の霹靂だ。
「キラさんパワーって、スゲーな……へへっ///」
一人でニヤニヤとそんな事を考えていると
「お兄ちゃ~ん、朝だよ」
いつものようにマユが俺を起こしに来た。
「あぁ、起きてる」
そう言いながら、扉に近づいて行く。
「サンキュー、マユ。
もう起きたからいいぞ」
扉を開けて、ちゃんと起きていると確認させた、が…
マユは、棒を飲んだように立ったまま動かなかった。
「マユ?…おーい」
「……お兄ちゃん?」
「ん?」
「起きてる…?」
「あぁ、今日はちゃんと起きてるぞ」
「っ!?」
その言葉を聞くや否や、マユは走って行ってしまった。
「…何なんだ?」
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