夢の始まり〈前篇〉
「こっ、こここぉー」
「コケコッコ?」
とロディーがボケても━━
「こおぉぉいぃぃーっ!!!//////」
リンに言われた言葉が余程強烈だったのか、俺の可愛いボケは見事、スルーされた。
その代わりに、普段あまり拝めないシンの反応が見れているわけだが━━
その顔は熟したトマトのように真っ赤で、瞳孔は開いて。
まるで幼い頃に読んでもらった、アジアの絵本に出てくる『アカオニ』のようで
…ちょっと怖いかもι
そうこうしているうちに
一人悶えていたシンが復活してきて…
「俺がキラさんに“恋”してるっていうのかぁ!!?/////」
…と叫んだ。
「「キラさん?」」
━━ハッ!?
「成る程、その人がシンの恋のお相手って訳ね」
「お相手って…ι」
「なあ、シン!そのキラさんは年上か?それとも年下?」
「え…っと、…知らない」
「…はい?」
疑問符と共にロディーに聞き返された。
でも本当に知らないのだ。
父さん達と働いていることから恐らくは年上だと思うが、正確な年齢は分からない。
というか、キラさんの事、名前や容姿以外の全てを俺は知らない。
知らなかった。
「…だってキラさんとは昨日、初めて会ったばかりなんだぞ…」
言い訳がましく聞こえるかもしれないけど、悔しかったから一応は主張してみた。
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