夢の始まり〈前篇〉
「お兄ちゃん、知ってる人なの?」
「え……?あ…いや、今日少し会っただけで…別に何も///」
昼間にキラと合ったことを思いだして、シンが顔を赤らめていると
マユは、あぁー!と大きな叫び声をあげて、自信満々といった顔で兄に言った。
「分かった!そのキラさんが、お兄ちゃんが“振られた人”なのね!」
「振ら……はあ!?」
寝耳に水な話にシンは思わず、素っ頓狂な声をあげた。
「俺が一体、いつ何処でキラさんに“振られた”なんて言ったんだよ!」
「あれ…?違うの」
「違う!!!!」
シンは全力で否定したが、マユはまだ疑っているようで「本当にぃ~?」と疑惑の目を向けてきた。
「そっ、それに……!そうだよ!その人が俺が言ってるキラさんかどうか、まだ分からないだろ!」
キラなんて、別に珍しい名前でもないし…
と自分で言いつつ、ちょっとは期待してる部分もあったりする。
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