夢の始まり〈前篇〉





「あっ!そんなことより、怪我は大丈夫ですか!」


「怪我…?」


意味が解らず、シンは彼女に言われた言葉を何度も頭の中で反芻してみた。


「……あ!」

ようやく先ほどの、自分の間抜けな出来事に行きついて、また落ち込みかける……が!ここは落ち込んでいる場合ではない。
返事を返さなければ、彼女をまた不安にさせてしまう!


「だっ、大丈夫です!転んだだけですからだから!!」

実際、かすり傷だけだったので嘘ではない。



「そうですか…。良かったぁ……」


ドキッ!



その笑顔に、本当に心の底から自分を心配してくれているのが分かった。







………うっ






………嬉しい//////




そう思うと、今度は何だか心臓の鼓動が早くなったような気がした。




「ぁ…あの…///」


シンは想いに任せて言葉を発した。
今なら、この胸の高鳴りの所為にして、どんなキザな台詞だって言える自信があった。



「一人なんですか?こっ、この場所けっこう足場が悪くて…
その、よかったら舗装された所まで俺が……えっと////」





もう自分が何を言っているのか、自分でも分からなくなってきた。


(これって思いっきり“ナンパ”だよな。
どうしよう…絶対、変な奴だと思われてるιι)





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