夢の始まり〈前篇〉
(女の…子?)
シンはゆっくりと…まるで吸い寄せられているかの如く、着実に彼女のもとへと歩を進めて行った。
「………」
彼女は、シンの存在に気づいていないのか、ずっと海を見ている。
ガサッ!
「…うわっ!」
「!…えっ?」
歩いていたら、いきなり地面が近づいてきた。
━━いや
地面ではなくシンの方が自ら近づいた(倒れた)のだ。
「…いってぇ」
足許を見ると、元凶と思われる大きな石が転がっていた。
きっと自分は、これに躓いたのだろう
「コノ野郎!」という思いを込めて、恨みがましく石を睨んでやった。
「むぅー………」
そうやって石とにらめっこをしていると━━
「あのぉー……」
「へっ?……」
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