夢の始まり〈前篇〉



━━C.E.71年1月26日

中立国オーブ連合首長国
(オノゴロ島)




トンッ、トンッ

「お兄ちゃん、起きて!」


…………。





トンッ、トンッ

「早く起きないと学校に遅刻しちゃうよ!」



…………。





「ん~~っ、もぉっ!!」

ドンッ!!、ドンッ!!

「お兄ちゃん!遅刻しても、マユ知らないんだからね!!」



また暫く待っていると、今度はやっと部屋の中から
「分かったよ…」と、いかにも眠たそうな返事が返ってきた。


扉に耳をあてて、中から着替えている様な小さな音を確認して、少女━━マユは「絶対だからね!」と、念を押してから、階段を下りた。





「………はぁーっ。まったく、アイツは」


ぶつぶつと文句を言いながらも、お兄ちゃんこと“シン”は朝食を食べるべく、階段を下りてリビングへと向かった。




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