夢のカケラ
「あぁ、ちょっと急ぎで、戦艦の修復作業が入ってな」
「戦艦…?」
なんで戦艦が出てくるんだ?
確かにオーブには軍事機関があるから戦艦の修復なんてよくあるだろうけど━━こんなに何日も徹夜での艦の修復なんて
戦争をした訳でも、これからするでもないのに…
「なんで戦艦?誰かが壊しちゃったの…?」
俺の心の声を代弁するかのようにマユが二人に聞いた。
…最後の「誰かが壊した」までは思っていないが
「さぁ…どうだろうな。あれは随分酷い有り様だったが……」
父は口許に手を宛て、真面目な顔で何かを思案しているようだった。
「確かに…」
すると、いままで笑顔だった母さんも、真剣な口調に不安げな顔で思い出すように話し始めた。
「確かに、見た目や内装はオーブの艦と似ていたけど、あれは、もしかしたら…」
「?、もしかしたら?」
「……もしかしたら、マユが言った通り、本当に誰かが壊したのかもしれないしな」
「…ないって」
……ぷッ!
娘のあり得ない発言を支持する父親に、すかさず息子がつっこみをいれて、その場の空気が一気に笑いに包まれた。
二人の眉間にあったシワもいつの間にか消えて、口許には笑みが━━…
…そうだな、憶測でものを言うのは止めよう。
何も知らないこの子達を不安にするだけだ
…それに
自分達も、確固たる証拠はないのだからな…。
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