言えない理由は大切だから(Lisa)
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スメールの教令院とはこのテイワット大陸で一番元素についての理解が深い場所である。多くの元素理論の立役者がこの学院の出身であり、この大陸に住まうものは彼らのおかげで発展した技術に知らぬうちに世話になっている者も多い。そんな有名なその教令院において200年に一度の天才と呼ばれた人物がいた。彼女はその名に恥じない天才であり、さらに知識に対する貪欲さも持ち合わせていたため、様々なことを自分のものにしていった。だが、彼女はある時を境にその知識を得ることをやめた。それは一冊の本に出会ったことによるものであった。今までの知識を昇華させることをやめた彼女は彼女自身が望んだはずの留学さえもやめてスメールの地を離れた。そして、天才魔術師はモンドに帰ってきた。
ところでジン・グンヒルドは西風騎士団でも貴重な人材である。なんせ彼女の上司といえる団長であるファルカは事務仕事をしない。しかし彼が無能ではなく恐ろしいほどの有能なリーダーであることは周知の事実である。だから騎士団での最終確認ともいえる書類の決済は彼女の仕事になっていた。もちろん、団長の判が必要なものは団長に頼むがそれ以外のものは基本的に彼女の判断にて行われることが多い。そんな副団長の目の前には積み上げられた多くの書類。そしてその向こうに見えたのは久方ぶりに見る友人、リサ・ミンツであった。
「手紙を読んだが本当に帰ってきたのか……」
「ええ、友人が帰ってきて嬉しいでしょう?」
にっこりと笑うリサにジンは何とも言えない気持ちになった。魔術について見識を深めたいと言っていた彼女がたった数年でスメールから帰ってくるとは正直なところ考えていなかった。
「……まあ、そうだが……」
理由は手紙にも書かれていなかったためにわからないが彼女があれほど大切にしていたなまえを一人にしてまで、情熱を燃やしていたスメールへの留学をとりやめて帰ってきたことは明らかに異常事態であると言っているようなものであった。そんな只事ではない事態だったがジンにはそれがなぜなのかは皆目見当もつかなかった。
「わかっているわ、ジン。なぜわたくしが突然留学をやめたのか聞きたいのでしょう?」
そういって、リサはジンに問いかけた。
――――
――
しばらくリサとジンは人払いをして話し込んでいた。これは誰にも聞かれたくないことだからとリサがジンに言った。ジンはリサの話を変わらぬ真面目さで真剣に聞いた。魔術にそれほど詳しくないジンにもわかるようにリサは丁寧に話をした。ジンがリサの言うことを理解した時、襲った感情は誰に告げることもない。リサの話を聞いてジンはこれは人に話して良いものではないと思った。
「わたくしはこのことをわたくしの決めた信頼できる数人にしか話さないつもりよ。だから、ジン。あなたも他言しないでちょうだいね」
「……なまえには、伝えるのか?」
なまえはリサが大切にしている妹だ。信頼という言葉で表すならばリサが最も信頼しているのはなまえである。それは仲の良い友人であるジンから見ても断言できる。妹と複雑な関係になってしまっているジンにとってその信頼関係は羨ましくもあった。
「……いいえ、あの子には何も言わないわ。わたくしがあと数年しか生きられないなんて……あの子には絶対に伝えられない」
これは代償だ。人間という矮小な存在が知識の源流に近づきすぎたために起こったことだ。リサはまごうことなく天才だった。天才だったからこそ禁忌に触れた。知識に飢えていたから彼女は智慧の代わりに取り返しのつかないものを失った。
「さて、話すことも話したし……。わたくしは帰ることにするわ。なまえが待ってるから。あの子のことだから、きっとわたくしの帰りを喜んでくれるはずよ」
なまえの名を出した時、ようやくリサの顔が綻んだ。大切な妹の存在こそがリサを絶望から掬い上げたのかもしれないとジンは思った。冷静に見えるリサだがきっと内心は穏やかではないだろう。今のリサに必要なのが誰なのかジンにも分かっていた。だからジンは引き止めない。
「……ああ、なまえによろしく」
「ええ、じゃあねジン」
「長旅だったのだから、心身を存分に休めてくれ。君が疲れを癒して体調を整えたらまた会おう」
そう言ったジンに頷くだけにとどめてリサはジンの元から去っていく。そして、彼女の大切な妹であるなまえが待つ家へと帰って行った。
設定
なまえ
リサの妹。天才の姉と違い、普通の人間である、はず。今はまだ何も知らないままの大好きな姉の帰りを楽しみに待つ1人の少女である。
リサ
スメールから帰ってきたばかりのお姉さん。妹であるなまえのことが大切で、大事であるからこそ留学をやめた理由は言えないでいる。
ジン
リサの友人。リサに秘密を聞かされた数少ない1人。複雑な関係であろうとも自分にも妹がいるからリサの気持ちはよくわかる。
あとがき
リサとその妹のお話でした。前述のインタビュー記事は英語ですが調べたらすぐにわかると思います。ゲーム内での設定がどうなるのかは分かりませんが開始前のインタビューではリサが寿命のほとんどを失ったのはある本を読んだからでした……よね?それをゴリゴリと噛み砕き、リサのキャラストと混ぜ混ぜしてできたのがこのお話です。リサがジン以外に秘密を話したのは誰なんでしょうね。
ちなみに、この後妹に泣きつかれてご馳走を一緒に食べてしばらく一緒にモンド内をまわってから騎士団で働くこととなります。ジンの役職が謎でしたのでとりあえず副団長にしておきました。
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