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ことの始まりは鍾離さんの突然の一言からだった。
「結婚というものは両親に挨拶に行くものだと聞いた」
「そう、なんですか?」
鍾離さんの提案に私は不思議に思ったけどあいにく私は結婚したことがない。それに、それは凡人の習慣ではないだろうか。凡人達は血の繋がりを大事にしている。だから、結構ことあるごとに家族で集まったりするらしい。どうやら鍾離さんは凡人の習慣にとても興味があるようだ。まあ、いつも何処かに行っているはずの父はちょうど家に帰ってきていたので会いに行っても大丈夫だろう。
「なまえ、おかえ……り……?」
「ただいまお父様、今日は人を連れてきたの。この方、鍾離さんと言って……お父様?」
お父様に会いに行くと、ちょうど家の前に立っていた。私が鍾離さんを紹介しているとだんだんとお父様の顔色は何か見てはいけないものを見たようなそんなふうな表情に変わっていた。
「て、てて……、」
「て?」
「久しぶりだな」
「え、鍾離さんお父様と知り合いだったの?」
「なまえ!」
鍾離さんに尋ねるとなぜかお父様が焦ったように私の名を呼んだ。
「おまえ、このお方をどなただと……!」
「え? しょうり、さんじゃないの?」
「間違いないぞ、なまえ。今の俺は鍾離であってそれ以下でもそれ以上でもない」
変な言い方をする鍾離さんを不思議に思いながらお父様の方を見るとお父様はあーだの、うーだの唸りながら何かと葛藤していた。そうして、しばらくすると何か決心がついたのか難しい顔をしながら鍾離さんの名前を呼んだ。なぜか名前の後には「様」がついていた。そのままの流れで家の中へと鍾離さんを通してお父様は慌てた様子で部屋を出て行った。いつもはもっと落ち着いているのに、どうしたのだろう。
「鍾離さん、ごめんなさい。お父様いつもはもっと落ち着いた人なんですけれど……」
「大丈夫だ。彼が落ち着いて冷静な判断が下せることはわかっている」
鍾離さんは小さく笑いながら私の言葉に肯定した。鍾離さんの言い方に私はお父様との関係について聞いてみることにした。
「鍾離さんはお父様と知り合いなの?」
「ああ、古い友だな」
「そうだったんですね。久しぶりに会ったからお父様緊張しているのかな?」
私が首を傾げながらそういうと鍾離さんは少し笑いながらそうかもしれないなと返事をしてくれた。
――
「け、けっこ……っ!」
私の隣に座る鍾離さんの言葉を聞いてお父様は絶句していた。
「なまえ……おまえはいつの間にこのお方と知り合いになったんだ……!」
「もうずいぶん前だよ。ほら、お父様が軽策荘に連れて行ってくれた頃ぐらい」
「そ、そんなに前から……!」
軽策荘に連れて行ってもらって、お父様はしばらく家に帰ってこなかった。50年ぐらいだっただろうか。お父様は普段から家にいる方が少ないのであまり気にしていない。
「しかし、てい……コホン、鍾離様……あなたもご存知の通り、娘はこの通り世間知らずでして、きっと鍾離様にご迷惑をおかけすることに……」
お父様は鍾離さんに向かって娘であるはずの私に対して結構な言い方をしていた。前はあんなに褒めていたのに、掌を返したようなお父様の態度に気持ちがしょんぼりする。そんな私の態度に気づいたのか、鍾離さんがお父様にそんなことはないと言ってくれた。鍾離さんの言葉を聞いてからお父様はハッとしたようにお茶を飲み干した。それからしばらく悩んでいたけれど、結局私を外に追い出し鍾離さんと二人で話していたと思えば結婚を認めてくれたのだった。帰り際にお父様が鍾離さんに深々と頭を下げていた。
あとがき
ちなみにお父様が鍾離の前でなまえのことを悪く言っていたのはのは雲の上の存在みたいな超絶偉い帝君がいきなり家に現れて娘をくれと言ったから完全に混乱していたせいです。なにかの間違いでは?という気持ちから嘘だろ、嘘だろって思っていたらうちの娘は超絶呑気な鈍感娘なのに良いんですか?!(そこが可愛いところなんですけどね!)となってたからです。本人には娘を乏しめるような気持ちは全くありません。
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