酒が全てを忘れさせてくれたなら
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「うーん、……ろさりあ~」
「はぁ……。もう、しっかりしなさい」
なまえに肩を貸しながらロサリアは帰路に着く。お酒一杯飲んだだけでこれほど酔えるとは酔えない身からしたら少し羨ましいものだ。
「うん、……うん。だい、じょう……ぶ。げん、きだよー……」
「……」
何が元気なのだろうか。酔っ払い特有の戯言であると見てロサリアは答えるのをやめた。まだ歩いてくれるだけマシかと思いながら歩を進める。
「(こうしてみたらただの若者なのに、どうして……)」
ロサリアはなまえを見ながらふと考えた。彼女のことについて。
「ねー、ロサリア~」
「……なにかしら」
不意になまえがロサリアを見た。おかげでロサリアの思考は中断を余儀なくされた。なまえの酔っているせいで赤い顔でとろんとした目は今にもまた眠りそうだ。
「……やくそく、わすれて……ない、よね」
「忘れていないわ」
突然の言葉に少し、ほんの少しだけロサリアは戸惑った。けれどそれをなまえには気づかせなかった。
「……ん~。……なら……いいや。ぜったい、わすれないでね」
えへへと少し眠そうに笑うなまえはやはり酔っている。あの約束はそんな呑気なものではないはずだ。それなのにこの話をする時はいつもなまえは笑っている。
「じゃあ、……かえるぞー!」
なまえはそういうとロサリアから離れて歩き出す。かなりふらふらしているが少し酔いが覚めたのだろう。そんななまえの後ろ姿を見ながら、ロサリアは彼女の思惑に気付いた日に約束したことを思い出す。ロサリアの仕事はモンドを守ることである。モンドに害するものの排除。
――ねえ、ロサリア。ずっと、ずっと私を……
あの時のなまえは何を思っていたのだろうか。そして、今も隠れることなくロサリアの前にいる理由もわからない。けれど、2人は約束した。紙にも書かれていないただの口約束だけど。それは2人の間でどんな約束よりも効力を発揮している。
――ええ、なまえ。
……――だからそれまではずっとモンドにいればいい
なまえの言葉にそう答えた時の彼女の嬉しそうな顔をロサリアは今でもずっと覚えている。だからこそ、ロサリアは心に決めている。
「大丈夫。その時が来たら私が、殺してあげる」
ロサリアが呟いたその言葉は誰にも届かずに暗闇の中に消えていった。