その引き金をひかないで
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不運はうつらない。
だけど、そばにいれば不運の犠牲になる。ベネットはそう言った。
「だから、なまえとは一緒にいられない」
そういうベネットの顔も辛そうでなまえはそれでもそばにいたいとは言えなかった。
――あなたとの縁を切りたくない。でも迷惑にはなりたくない。そう思って手紙を書くことにしました。
そんな文から始まる手紙をベネットは空に渡された。
「……お前のこと心配してたぞ?」
空と共にいたパイモンがふよふよと浮いている。2人も手紙の主であるなまえのように心配した様子であった。
「……届けてくれてありがとうな2人とも」
手紙を読み終わったベネットは顔を上げて2人の顔を見た。
「「……」」
そんなベネットと目があった彼らは何も言えなかった。なぜなら彼の表情はいつもの何があっても前向きな印象とはまた違ったからだ。そんな2人の様子に気づいたのか、ベネットは困ったように頬をかいて笑う。そして開かれたままの便箋を丁寧に畳みなおして封筒に戻した。
「なまえに頼まれたのか?」
「そうだよ。ベネットに会った時でいいからって声をかけられたんだ」
「そっか。本当になまえらしいよ。……あいつ何か言ってたか?」
「何も。ただベネットをよろしくって言ってたよ」
「……やっぱりな。あいつ心配症なんだよ。俺のことなんか忘れてくれればいいのに……」
そうは言いながらも手紙を大事そうにしまった。そんなベネットの様子に空は何かを言いたげに見ていた。
「さ、空! 今日の冒険に行こうぜ!」
「……うん、そうだね」
元気よく言うベネットの言葉も今日はなんだか空元気のように思えた。先に行くベネットを見ながらパイモンは彼に聞こえないように空に話しかけた。
「なあなあ、空……本当にオイラたち何もしなくて良いのかな?」
「そうだね。俺も何かしたいとは思うけど……ベネットのあの体質がある限りなまえさんとの距離は縮まらないと思うんだ」
「不運って治らないのかな?」
「どうだろう……。ベネットはきっと今まで不運に対して色々向き合ってきたと思うんだ。だから今不運の体質を受け入れてるってことは……」
「治らなかったってことか」
「たぶんね」
そういう空はやりきれない顔を隠さなかった。彼の言葉に落ち込むパイモンとの間に暗い雰囲気が漂う。
「なんとかできないのかな」
そう呟いたパイモンに空は何も答えることができなかった。