八十の灯だけが知っている
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・いつか陽だまりの下で笑いたいと同じ設定。
・2021年海灯祭イベントストーリー沿い
・↑を知らない方は魈の伝説任務直後から始まるお話だと思っていただければおそらく大丈夫です
最近、璃月にやってきた旅人である空に璃月最大の祭りである海灯祭について最初に教えてくれたのは望舒旅館のオーナーであるヴェル・ゴレットである。
「魈様となまえ様のお二人を誘ってあげてくれないかしら?」
だからその海灯祭に参加の意思を見せた2人にそうヴェル・ゴレットが頼んだのは話の流れからして不自然なものではなかった。
「なまえ様はお優しい方だけど私達には距離をとってらっしゃるし、魈様と私達はそこまで親しい間柄じゃないから、ちょっと声かけにくいの。あなたたちは仲がいいみたいだし、せっかくなら……」
期待と不安が入り混じった様子で少し言い淀む彼女の言葉であったが2人は先ほどの魈の様子を思い出した。今は時期が悪い。彼はこれから1人昔を思い出しながらチ虎魚焼を食べるのだろう。銅雀が、多くの仲間がいたあの頃の思い出を振り返りながらあのチ虎魚焼きを食べているはずだ。邪魔してはいけないと空が考えているとパイモンが首を傾げた。
「……あれ? そういえば1度もなまえと会ってないな。魈に聞いても教えてくれなかったし……、一度探してみるか?」
そういうパイモンの提案に空は頷いた。そのやりとりを見ていたヴェル・ゴレットは彼らの言葉に満足したようだ。だがその後思い出したかのように口を開いた。
「なまえ様なら今はこの旅館にはいないわよ」
「えっ! 通りで見てない思ったぞ……。なあどこにいるか知らないか?」
「悪いけど知らないわ。……でも」
パイモンの問いに首を振ったヴェル・ゴレット。だが少し考え込んだ彼女は空達にひとつの話をした。
「前に何度かタケノコを頂いたことがあるの。もしかしたら軽策荘の辺りにいらっしゃるのかもしれないわ」
「そうなのか! 行ってみようぜ空!」
「あ、でも海灯祭当日までにはまだ時間があるから一度璃月港に向かってからでもいいんじゃないかしら?」
乗り気になったパイモンにヴェル・ゴレットはそんな提案を出した。
――
結局、先に璃月港に行き、海灯祭の詳細や霄灯の作り方などを学んだ2人はなぜか窃盗未遂犯を捕まえることとなった。それもようやく落ち着き、依頼してきた魈には海灯祭当日に会うことにした。海灯祭までまだもう少し日がある。それまでになまえを誘うために空とパイモンの2人はヴェル・ゴレットの言葉をもとに軽策荘にやって来た。そしてこの長閑なところに住む住民達に話を聞いたがそれらしき姿は見てないと皆一様に首を振った。ヴェル・ゴレットが言っていたタケノコがあるのは軽策荘の近くの竹林である。だからこそ軽策荘の住民達の目撃談を頼ったのだが空振りに終わってしまった。
「おい、本当にいるのか?」
「もう少し範囲を広げてみようか」
「そうだな。タケノコってあっちの竹林にあったよな? そこにも行ってみるか!」
竹林へ向かう途中、軽策荘の外れに小さな女の子がいた。彼女の名前は羅小妹。以前「仙人のお兄さん」について話を聞いたことがある。彼女ならもしかしたらなまえのことを知っているかもしれない。
「……そのお姉さんなら知ってるよ! でも今日は見てないよ?」
「今日は? 他の日に見たことある?」
「えーっとねー……いつだったかな……。でもこの間だよ」
羅小妹の言葉に有力な情報だと空とパイモンの2人は目を合わせた。
「どこで見たか教えてくれるか?」
「竹林にいたらここは危ないから軽策荘に戻りなさいって言われちゃった……。お姉さんは私をここまで送ってくれた後、引き返しちゃったけど、あのお姉さんは危なくないのかな?」
心配そうに話す羅小妹の姿に空は自分が見てくるから心配しないでと慰める。
「お姉さん元気なさそうだったから心配だよ」
羅小妹は持っていた人形をぎゅうと抱きしめた。
・2021年海灯祭イベントストーリー沿い
・↑を知らない方は魈の伝説任務直後から始まるお話だと思っていただければおそらく大丈夫です
最近、璃月にやってきた旅人である空に璃月最大の祭りである海灯祭について最初に教えてくれたのは望舒旅館のオーナーであるヴェル・ゴレットである。
「魈様となまえ様のお二人を誘ってあげてくれないかしら?」
だからその海灯祭に参加の意思を見せた2人にそうヴェル・ゴレットが頼んだのは話の流れからして不自然なものではなかった。
「なまえ様はお優しい方だけど私達には距離をとってらっしゃるし、魈様と私達はそこまで親しい間柄じゃないから、ちょっと声かけにくいの。あなたたちは仲がいいみたいだし、せっかくなら……」
期待と不安が入り混じった様子で少し言い淀む彼女の言葉であったが2人は先ほどの魈の様子を思い出した。今は時期が悪い。彼はこれから1人昔を思い出しながらチ虎魚焼を食べるのだろう。銅雀が、多くの仲間がいたあの頃の思い出を振り返りながらあのチ虎魚焼きを食べているはずだ。邪魔してはいけないと空が考えているとパイモンが首を傾げた。
「……あれ? そういえば1度もなまえと会ってないな。魈に聞いても教えてくれなかったし……、一度探してみるか?」
そういうパイモンの提案に空は頷いた。そのやりとりを見ていたヴェル・ゴレットは彼らの言葉に満足したようだ。だがその後思い出したかのように口を開いた。
「なまえ様なら今はこの旅館にはいないわよ」
「えっ! 通りで見てない思ったぞ……。なあどこにいるか知らないか?」
「悪いけど知らないわ。……でも」
パイモンの問いに首を振ったヴェル・ゴレット。だが少し考え込んだ彼女は空達にひとつの話をした。
「前に何度かタケノコを頂いたことがあるの。もしかしたら軽策荘の辺りにいらっしゃるのかもしれないわ」
「そうなのか! 行ってみようぜ空!」
「あ、でも海灯祭当日までにはまだ時間があるから一度璃月港に向かってからでもいいんじゃないかしら?」
乗り気になったパイモンにヴェル・ゴレットはそんな提案を出した。
――
結局、先に璃月港に行き、海灯祭の詳細や霄灯の作り方などを学んだ2人はなぜか窃盗未遂犯を捕まえることとなった。それもようやく落ち着き、依頼してきた魈には海灯祭当日に会うことにした。海灯祭までまだもう少し日がある。それまでになまえを誘うために空とパイモンの2人はヴェル・ゴレットの言葉をもとに軽策荘にやって来た。そしてこの長閑なところに住む住民達に話を聞いたがそれらしき姿は見てないと皆一様に首を振った。ヴェル・ゴレットが言っていたタケノコがあるのは軽策荘の近くの竹林である。だからこそ軽策荘の住民達の目撃談を頼ったのだが空振りに終わってしまった。
「おい、本当にいるのか?」
「もう少し範囲を広げてみようか」
「そうだな。タケノコってあっちの竹林にあったよな? そこにも行ってみるか!」
竹林へ向かう途中、軽策荘の外れに小さな女の子がいた。彼女の名前は羅小妹。以前「仙人のお兄さん」について話を聞いたことがある。彼女ならもしかしたらなまえのことを知っているかもしれない。
「……そのお姉さんなら知ってるよ! でも今日は見てないよ?」
「今日は? 他の日に見たことある?」
「えーっとねー……いつだったかな……。でもこの間だよ」
羅小妹の言葉に有力な情報だと空とパイモンの2人は目を合わせた。
「どこで見たか教えてくれるか?」
「竹林にいたらここは危ないから軽策荘に戻りなさいって言われちゃった……。お姉さんは私をここまで送ってくれた後、引き返しちゃったけど、あのお姉さんは危なくないのかな?」
心配そうに話す羅小妹の姿に空は自分が見てくるから心配しないでと慰める。
「お姉さん元気なさそうだったから心配だよ」
羅小妹は持っていた人形をぎゅうと抱きしめた。