おなじ朝でもちがう朝
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「起きて! 早く起きてよー! お姉ちゃん!!」
朝から騒がしい声に意識が覚醒する。しかし布団の中にいるなまえはまだ完全に目覚めるまでには至らず、布団の中から出てくる様子はない。布団の上から揺さぶられてようやくなまえはもぞもぞと体を動かす。
「……もう、なに~? 昨日遅かったから…まだ寝ていたいんだけど……」
「お姉ちゃん! お父様がいないからってそんなに寝てたらダメだよ!」
「お父様がいないから寝てるの……だってえ……起こされ、……もん」
布団の中からもごもごと間延びしたなまえの声がバーバラの耳に入る。父が不在の時はなまえの1日の始まりは比較的遅い。全然起きようともしないなまえの姿にバーバラはため息をついた。
「お父様がいないからって、寝てちゃダメよ! お姉ちゃんの大好きなハニートーストももう焼いちゃったんだから! 早く起きてよー」
「……んー、」
西風教会で牧師をしているバーバラとは違い、なまえは冒険者だ。彼女らの父であるサイモンはできれば今の自分と同じ西風教会に所属してほしかったようだ。だが残念ながらなまえは父がかつてしていたように各地を旅し世界の秘密を明かすことに興味が湧いた。それもサイモンが自らの冒険譚をかつて幼いなまえの寝物語として語ったせいなので強く否定することはできなかった。ただ、冒険者という職業がどんなに危険なのか。なぜサイモンが冒険者をやめて西風教会に所属することにしたのか、彼は懇々と娘に説いた。それでもなまえの決意は変わらず、結局父が折れて必ず家に帰ることを条件に彼女は冒険者になることを許されたのだ。
「おねえちゃん…今日は休みだから一緒に出かけようって言ったじゃない……」
「………、ん。……おきる」
冒険者とは定時の職ではない。昨日秘境に入っていたなまえはいつもより帰るのが遅かった。苦戦していたわけではない。昨日の秘境の景色がなまえの好みだったのだ。眺めていたら遅くなった。マイペースなところがあるなまえは度々そういうところがあった。景色を堪能している途中にバーバラのことを思い出して慌てて秘境を出て家に帰ってきたのだ。そのせいでベッドに入るのも遅くなってしまった。バーバラの沈んだ声でようやく布団から出てきたなまえは見るからに眠たそうな顔をしていた。これがかの払暁の枢機卿の娘なのかと家族以外のものが見たら思うだろう。だが、姉妹の中で一番マイペースななまえは家の中ではいつもこんな感じであった。外ではもう少しマシである。
「じゃあ私は先に行ってるから、お姉ちゃんも早く来てね」
「んー……」
起き上がったなまえは妹にそう返事をした。しかしバーバラの姿が見えなくなるとなまえはぽすんと横に倒れた。そのまま、また眠り始めてしまった。15分後に見に来たバーバラによって再び起こされたのはいうまでもない。
――
「バーバラ本当にごめんね!」
「……お姉ちゃんの寝起きが悪いのはいつものことだもの」
だいぶ冷めてしまったハニートーストの前に今度こそちゃんと身支度を整えたなまえが座る。バーバラはふてくされたような態度で姉を見ていた。絶対に外では見せないようなその姿になまえは肩身の狭い思いをしながら謝る。悪いのはなまえなのだから当然である。
「うっ、本当にごめん。朝ごはんも作ってくれてたのに」
「そうだよ!お姉ちゃんのためにハニートースト作ったのに全然起きてこないんだもの!」
「ごめんねバーバラ。今日は私がいろいろ買ってあげちゃうから許して!」
「……もう仕方ないなあ。……お昼ご飯もお姉ちゃんの奢りなんだからね」
バーバラの言葉に冷めたハニートーストをおいしそうに食べはじめる姉を見ながらため息をついた。なまえがなかなか起きてこないのも、こうしてバーバラが許すのもいつも変わらない朝の出来事である。
「ありがとうバーバラ! お姉ちゃんなんでも買っちゃう! バーバラの作ったハニートーストおいしいね!」
「……ありがとう」
いつも今日こそは許さないでおこうと思っても結局姉が好きなバーバラは許してしまう。冷めたハニートーストを本当に美味しそうに食べる姉の姿を見ながらバーバラは紅茶に口をつけた。冒険者という性質ゆえに家を開けることが多い姉。そんな姉がバーバラと約束した日には必ず家にいてくれるから。それを知っているからバーバラはいつもなまえのことを強く言えないでいる。それでもやはりそのまま許すのは悔しいので、とりあえずお昼は鹿狩りで一番高い物を食べさせてもらおうと心に決めた。
設定
なまえ
バーバラの姉。今の父親と同じ職業についたバーバラとは違いかつての父親の職に憧れた。なまえの姉「一族の誇り」とよばれる「あの人」ほどではないが剣の腕はある。妹のことは頑張り屋で可愛いと思っている。だが寝起きが悪いことなどをはじめとして妹に世話をされることが多い。どっちが妹かわからないなと姉妹を知る人には苦笑されている。
バーバラ
なまえの妹。モンドの牧師にしてアイドル。休みが重なるとなまえと一緒にいられて嬉しい。何処かへ出かける場合大抵なまえの寝坊で想定時間から遅れる。その度にお昼を奢ってもらったりするが本当は一緒におしゃべりできるだけで充分だと思っている。
サイモン
姉妹の父親。1週間に及ぶ話し合いの結果、なまえの冒険者協会入会を許した。本当は協会じゃなくて教会に入って欲しかったが、性格的には完全に冒険者向きだと知っていた。しかし冒険者だからといって不規則な生活を許しはしない。