真夏に至る物語
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「リサさん、時間ある? 一緒に服を選んでほしいんだけど」
「「……服?」」
バーバラが図書館に入るなりそう言った。
突然顔を出したバーバラに対して帰ってきた声は2つあった。
ひとつは彼女が目的としていた人物、図書館司書のリサのもの。
そしてもうひとつはバーバラがいまモンド城内にいないと思っていたバーバラの姉のなまえであった。
「え……、あれ? なまえお姉ちゃん! どうしてここに!?」
「しーっ、バーバラ。図書館は、静かにしないと」
「……ご、ごめんなさい」
リサを訪ねてきたはずなのに、いるはずのない姉の姿を見つけてバーバラは思わず声を上げた。
どこの世でも「図書室では静かに」そういうルールが存在している。
ここでも例外ではなく、声を上げたバーバラをなまえが控えめな声で咎めた。
その言葉にハッとなったバーバラは素直に謝りながら姉のそばに寄って、なぜここにいるのかと問いかける。
なまえは冒険者だ。
外泊を認めてほしいと父に頼み込んでいたのは1週間ほど前のこと。
なんとか許可をもらって2、3日家に帰らないと昨日行って出て行ったはずだったのだが……?
「なまえお姉ちゃんどうしてここに? 帰ってこないんじゃなかったの?」
「……、そのつもりだったんだけど、ほら……図書館の本返すの忘れちゃってて、慌てて返しにきたんだよー」
バーバラは姉が本を読んでいたことを思い出す。
同時に冒険に出ているのに冒険ものの小説を読んでいてどれだけ冒険が好きなのかと話したことも一緒に思い出した。
「もう少し時間に余裕があるそうだから、わたくしがお茶に誘ったのよ。これから用意するつもりだけどバーバラも一緒にどうかしら?」
「うんうん、バーバラも一緒に飲もうよ」
笑顔のリサの言葉に続けてなまえもバーバラを誘う。
その言葉に流されかけたバーバラだったが、自分が訪問した理由を思い出して首を振った。
「えっ、いいの? ……あ、違うの! あの、水着を一緒に……リサさんに選んで欲しくて……」
「水着? バーバラこのあいだ買ったんじゃないの?」
「あ、えっと……私のじゃなくて……そのジンお姉ちゃんの……」
「お姉ちゃんの??」
バーバラが水着を買っていた時なまえはバーバラと一緒にいた。
そのために出てきた純粋な疑問だった。
ちなみに、なまえはバーバラの姉であり、そしてジンの妹でもある。
「お姉ちゃんと海にでも遊びに行くの?」
「えっ!? ……あっ! ち、ちがうの! なまえお姉ちゃんに内緒にしていた訳じゃないの! 実はね……、」
なまえの疑問はもっともである。
そんな話は妹にもましてや姉にも聞いていなかったからだ。
なまえは単純に不思議に思ったから尋ねただけだったのだが、バーバラは違うことを考えたらしい。
慌てた様子でなまえに向かって言い訳のようにその理由を話した。
「――金リンゴ群島? ……ってさっきクレーちゃんが空くん達と聞きにきた地名だよね?」
「……あれ? お姉ちゃん知っていたの?」
「うん。さっきここに来てたよ。ねえ、リサ?」
クレーの元に届いた謎の脅迫状。
そこから金リンゴ群島という謎の地名が出てきたのだ。
バーバラが来る前にクレー達が博識であるリサのもとに情報を得るためにやってきていた。
その途中になまえが本を返しにきて鉢合わせて冒険者ということで一緒に話を聞いていたのだ。
「ええ。可愛い子ちゃんとパイモンちゃんにクレーの3人で聞きにきたわよ」
「そういえばリサさんに聞きに行ったって言ってた……」
バーバラがクレーたちの言葉を思い出すように呟いているとなまえがうーんと首を傾げた。
「謎の金リンゴ群島にドド大魔王……結構気になる話だよね。クレーちゃんには悪いけど謎の群島ってちょっと楽しそう……」
「なまえ。そんなこと言ってはだめよ」
「……そうだね。ごめんなさい」
さすがは冒険者というべきなまえの反応にリサが年長者らしく少したしなめると彼女は素直に謝った。
興味がありそうな様子のなまえの言葉にバーバラが両腕を後ろで組みながら少しもじもじとして姉を見つめる。
「あの、お姉ちゃんも一緒に行かない?」
興味を持ったなまえにチャンスだとバーバラがアイドルらしい可愛らしさを見せながら姉を誘う。
なまえがバーバラの親衛隊なら即答しただろうが生憎なことになまえはファンではなく姉である。
確かに妹は可愛いがなまえにはその前にすでに先約があった。
「あー、……ごめんね。行きたいけど璃月に戻らなきゃ。……人を待たしてるから」
「えっ?今回は1人じゃないの?」
なまえはソロの冒険者である。
だから好きに冒険をしているしその予定も自分で組み立てている。
バーバラは今回もひとりで冒険しているのだと思っていた。
「うん。その子とは前にも一度、一緒に秘境探索したんだ。年下なのにすっごく強くてねー。昨日もその子と一緒に行動してたんだけど、本のこと思い出しちゃってー! そしたらその子も用事があるからちょうど良いって一旦別れたの」
「ちゃんと忘れないでいてくれてお姉さん嬉しいわ」
「だって、リサ怒ると怖いって前にガイアさんが言ってたから」
なまえとリサが話す内容を聞きながらバーバラは少しだけなまえと一緒に冒険している“その子”を羨ましく思った。
同居しているとはいえ、普段あまり一緒ににいられていないから尚更である。
バーバラにとってジンもなまえも大切な姉である。
だからこその小さな嫉妬心。
いけないと思いながらも抱いてしまうのはバーバラが神に仕える牧師である前に1人の人間だという証拠なのだろう。
「バーバラ! その群島には一緒には行けないけれど、お姉ちゃんの服を選ぶ時間ならあるから私も一緒に行ってもいいかな?」
なまえはそんなバーバラの心を見抜いているかのような言葉を選んでいるみたいに思えて、嬉しいのになんだかずるいと思ってしまう。
なまえの性格から考えればそんなことはあり得ないというのもまたバーバラにはちょっぴり不満であった。
でも、それよりもなまえがバーバラのために時間を割いてくれた方が何倍も嬉しかった。
「ありがとう! お姉ちゃん!!」
バーバラはなまえに思わず抱きついた。
なまえはなんてことないように抱きしめ返して頭を撫でる。
それを見ていたリサも笑顔になった。
「ふふ。相変わらず仲が良いのね。それじゃあお姉さんはお邪魔かしら?」
「そんなことないよ! だってリサさんだって私のお姉ちゃんみたいなものだもの!」
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね」
少し意地の悪い質問かもしれないと思いながらリサは口にした。
それでもバーバラはしっかりとリサの言葉に首を振る。
バーバラの言葉に続いてなまえも手を上げてリサに向かって口を開く。
「私も! リサのことお姉ちゃんみたいだって思ってるよ!」
「もう、なまえまで。冗談のつもりだったのに、そんなに嬉しいこと言われたらお姉さん照れちゃうじゃない」
本音を伝えてくる年下の2人に照れながらもそれも隠すように少し明るく振舞ったリサは図書司書不在の札を机に置いた。
「それじゃあ、可愛い2人の妹たちのためにもジンに似合うとびっきりの夏服をお姉さんが見つけてあげるわ」
そう言って2人に向かってウインクするリサはとても頼りに見えた。
リサの言葉に喜んだ2人は今度は彼女に両腕にそれぞれギュッとひっついた。
設定とあとがき