どうかひとりで泣かないで
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霄灯の灯が海の上を昇ってゆく。
そんな美しい光景を見つめながらその背後で戦う彼のことを考えた。
護法夜叉として帝君との契約を忠実に今も履行している彼の名前を璃月の凡人たちは知らない。だって彼は自分のように今の平和な璃月人達が必要だと思うものと関わる仙人ではないからだ。彼の仙人としての使命はこの璃月の地に眠る魔神に干渉を受けた妖魔を退治すること。戦いに特化した彼は今存在する仙人達の中でも特に戦う力の強い仙人である。だからこそ彼の役割は過酷で苛烈だ。
魔神は不死である。正確にいうと魔神の魂が、だ。肉体は朽ちてもその魂はずっと残る。そして魂に残った恨みは怨嗟のように降り積もり大地へと滲み出してくる。終わりの見えぬ戦いに身を投じている彼をなんとかしたいと思ったことは一度や二度ではない。けれども彼は私にそんなことを求めていないし、戦いを手伝おうとしてもひとりで大丈夫だと戦地には赴くことすら許されなかった。それならばいつか彼を助けたあの笛の音の主のように彼の傷を少しでも癒してあげたかったが、自分にそんな力がないことは試してみなくてもわかっていた。仙人の力とは武力である。癒すための力ではないのだ。平和な璃月に必要な力を持とうとも、仙人の力の本質は魔神戦争時代に必要であった武力である。
「なまえ」
「………、」
「こんなところにいたのか」
「…………魈」
璃月港の外で霄灯を見つめる私に声をかけてきたのは件の彼。護法夜叉と呼ばれている魈だった。
「……珍しいね。今日璃月港に来るなんて」
「ああ。あの旅人が我にここまで見送れと言ってきたのでな」
「空くんが……」
空くんはモンドからやってきた少年だ。でも神の目を持っていないのに元素を扱える不思議な少年。そして帝君の協力者だった。帝君の協力者であった彼を魈が蔑ろにするはずはない。なぜあんなに嫌がっていた璃月港まで彼ら見送ることになったのか。どのような経緯でそうなったのかは知らない。聞くつもりだってない。せっかくここに来てくれたのだ。この霄灯を見て魈の心が少しでも晴れることを願う。足を抱え込んで座る私の隣に座り込む魈。魈との距離はほんの少しだけ開いていた。そこに彼の小さな優しさを感じる。彼は本当に優しいのだ。だからこそ、その優しさが辛かった。
「今日は……いいの?」
「……ああ。いろいろあったのだ。旅人のおかげで今年は大丈夫だろう」
なにがとは言わなかった。けれどそれで伝わる。海灯祭で盛り上がる凡人達は知らない。その裏で憎悪を滾らせている存在のことを。気づかない方がいい。気づかないことが幸せなのだとそう言い聞かせながら私は美しい霄灯の群れをみつめる。その憎悪がたった1人に降りかかろうともそれは凡人達には絶対に気づけないことだし、彼もそれを望んでいないから。
「ねえ、魈」
「……なんだ」
「霄灯、きれいだね」
「……ああ、そうだな」
その言葉を言うのに彼がどれほどの想いを持っているのか私にはわからない。けれど、この景色を見て彼の心がほんのひと時でも休まればいい。美しい橙色の灯達が彼を少しでも慰めてくれることを願った。たとえそれが一時のまやかしだとしても、癒された心はあの笛の音のように彼の中にずっと残るのだから。
なかなか見ることが叶わない景色だからこそ空くん達に感謝して私は霄灯を見つめる魈の手を握った。躊躇いがちに握りかえしてくれた魈の手の暖かさに少し悲しくなった。いつか、いつかきっと彼が躊躇いなく私の手を掴んでくれる日が来るように祈らずにはいられなかった。
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なまえ
仙人。戦えるけど戦わせてもらえない。商業関連か植物かその他の何かを司る仙人。お好きにどうぞ。仙人として比較的凡人達の中でも有名。なんとかかんとか真君って別の名前があると思う。魈とはずっと一緒にいる。だからずっと心配している。毎年海灯祭を見に行くのは魈が絶対に来ないところでひとりで泣くため。
魈
護法夜叉。通り名だけ伝わっている。偽仙人のおかげ?で今年の海灯祭をなまえと見ることができた。奴のしたことは許せないけどなまえが毎年どんな気持ちでひとりで見てるか知ってるだけに少し感謝してるかも?もちろん空とパイモンにはちゃんと感謝してる。
空
旅人。前は一緒にいたはずのなまえがいなくてどこに行ったのかと思っている。魈に聞いても(海灯祭見に行ってるなんて言えないので)教えてもらえなかった。だから海灯祭期間は会えずじまい。だけど次あったら絶対になまえから感謝されることは確定している。