彼女のことは何も知らない
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――
「影も1人でこもっちゃったし、私も今はすることがないからあなたと一緒にいられてよかった」
ある時その人間はそんなことを話した。何のことかわからずに首を傾げるとその人間は暇だってことだよと言っていつものようにニコニコと笑った。その頃には僕もそれが笑顔だと言うことも知っていて、真似をせずとも微笑み返すことができるようになっていた。
その人間との旅は楽しかった。心がないはずなのにこの旅が楽しいものだということは理解できた。2人で旅をする間に人間が持ちうる嬉しいと言う感情は理解できるようになっていた。
「自分が眞の代わりをしなきゃいけないからって1人で背負い込んで勝手に決めなくてもいいのに」
その人間は時折そんなことを僕に話すというよりは独り言のようにつぶやいていた。その影も眞も誰かを呼ぶ名だと知ったのはそれからずっと後のことだった。そして、それが誰を指していたのかも……――。
それから、何年か経ったある日のこと。それは稲妻にしては珍しく晴れた日が何日も続いていた。
「――ねえ、×××」
そんなふうにして隣にいた人間が僕を呼んだ。それはもう捨て去った名前であり、誰も呼ぶことのない名前だ。だから、僕ももう覚えていない。覚える必要のない意味のないものだ。
「私たち、長い間旅をしてきたね」
そこからはじまったのは僕とこの人間の二人旅の終わりを告げる宣告だった。本心を言えば僕はこの人間ともう少し旅をしていたかったのかもしれない。そしてそれは相手もそうだったのかもしれない。けれど、僕はその気持ちを言葉に出すことはできずに結局二人の旅は終わりを告げた。それから僕は彼女が呼ぶ名を捨てて、違う名となり今は稲妻を出た。あれ以来、あの人間には会っていない。
「影も1人でこもっちゃったし、私も今はすることがないからあなたと一緒にいられてよかった」
ある時その人間はそんなことを話した。何のことかわからずに首を傾げるとその人間は暇だってことだよと言っていつものようにニコニコと笑った。その頃には僕もそれが笑顔だと言うことも知っていて、真似をせずとも微笑み返すことができるようになっていた。
その人間との旅は楽しかった。心がないはずなのにこの旅が楽しいものだということは理解できた。2人で旅をする間に人間が持ちうる嬉しいと言う感情は理解できるようになっていた。
「自分が眞の代わりをしなきゃいけないからって1人で背負い込んで勝手に決めなくてもいいのに」
その人間は時折そんなことを僕に話すというよりは独り言のようにつぶやいていた。その影も眞も誰かを呼ぶ名だと知ったのはそれからずっと後のことだった。そして、それが誰を指していたのかも……――。
それから、何年か経ったある日のこと。それは稲妻にしては珍しく晴れた日が何日も続いていた。
「――ねえ、×××」
そんなふうにして隣にいた人間が僕を呼んだ。それはもう捨て去った名前であり、誰も呼ぶことのない名前だ。だから、僕ももう覚えていない。覚える必要のない意味のないものだ。
「私たち、長い間旅をしてきたね」
そこからはじまったのは僕とこの人間の二人旅の終わりを告げる宣告だった。本心を言えば僕はこの人間ともう少し旅をしていたかったのかもしれない。そしてそれは相手もそうだったのかもしれない。けれど、僕はその気持ちを言葉に出すことはできずに結局二人の旅は終わりを告げた。それから僕は彼女が呼ぶ名を捨てて、違う名となり今は稲妻を出た。あれ以来、あの人間には会っていない。