ワルカからやってきた三人組
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―――――
「メガトン大鉄塊って、歩哨機関じゃないよね……」
アランナラの導きに従って、歩いているとなまえがふと思い出したように疑問をつぶやいた。アランナラの言葉を聞いてその黒い塊があの巨大な兵器ではないかとなまえは考えたらしい。
「それはないだろう。あれがこの辺りにあるとは思えない」
「じゃあ耕運機?」
なまえの疑問をダインスレイヴが否定する。こんなところに歩哨機関があればこの辺一帯は森林地帯ではなく、焼け野原になっているだろう。そんな彼の言葉に続けて疑問をぶつけたの蛍だった。彼女の問いかけに今度はなまえが首を振る。
「耕運機じゃないよ。だって、さっきアランナラに頼まれて倒した耕運機のことを『おっきな鉄の塊』って言ってたし」
「耕運機でも、歩哨機関でもなかったら……」
なまえの答えを受けて、蛍が次の予想を口にする前に言葉を挟む者がいた。
「耕運機……? ナラなまえ達はそう呼んでいる? 鉄の塊を知っているのか? ヤツらはワルカから来た」
3人の新たな同行者であるアランナラだ。アランナラは3人をそれぞれ見つめてから、言葉を続ける。
「ナラなまえとナラダイン、ナラ蛍達も同じ? ……例えキミたちがワルカから来ても、キミたちは良いナラ。それなら黒い獣のことも知っている?」
「黒い獣?」
「そう。黒い獣は現れたり消えたりする。ヒルチャールナラと鉄の塊と一緒に来たとても怖いヤツだ」
アランナラは思い出す様にその黒い獣について話をした。アランナラにとって鉄の塊と同様に訪れた新たな脅威。その特徴に3人は反応を示す。
「現れたり……」
「消えたり?」
蛍となまえが疑問符を浮かべなら復唱する。考え始めて最初に答えを出したのはダインスレイヴだった。
「……レインドット」
「「!」」
彼の言葉に3人の中で同じ人物が頭によぎる。
「『黄金』ね」
「あの錬金術師……」
カーンルイアで有名だった黄金の二つ名を持つ女。あの女の際限のない欲望が呼び出した異界の獣。それがきっと黒い獣の正体だろう。カーンルイアに七神がもたらしたその災いは神々自身の国にも波及した。そのせいで多くのカーンルイア人に災難が降りかかり、純血のカーンルイア人のほとんどは神を憎んでいる。すでに多くの血が混じっていたために望まぬ不死と共に得たのは強制的な別離。そんな別れを喜ぶものは少ないから。だから、この大陸に災いが起これば良いと思う者もいるだろう。それだけのことをこの大陸の神々はカーンルイアに行ったのだ。それを忘れたわけではない。
しかし神々に蹂躙されたカーンルイアの人々が無辜だったのはもちろん、この神々が支配する国の人々また無辜の民だったのだ。己の神が何をもたらすのか知らない神を信じる国の民。哀れでありながら優しい人々だ。地下に落ちた同胞が魔物に変えられたことも知らずに生きる人々。この国の人々は……危うい薄氷の上に立っていることを知らないままなのだ。それでも、だがそれでも白鵠騎士達は人々を守るためにこの国で戦った。彼らに触発されたこの国の人々……片腕の賢者や名も無き学者たち、そしてあの花霊達は厄災を鎮めるために立ち向かった。
その結果は三人が知る通り、白鵠騎士達同様に多くのものが犠牲になったがあの災いは落ち着きを見せた。その中心であった小さな花霊ズルヴァーンはダインスレイヴを助けてくれたのだ。だから手を貸した。助けようと言う気持ちになった。そして、なまえと蛍と再会し、彼はカーンルイアがもたらした厄災について調べる旅を始めた。それはカーンルイアにもたらされた災いを調べる事にも繋がるから。だからなまえと蛍、そしてダインスレイヴの三人は花海に残ると言った賢者や花霊達と別れて今ここにいる。