新築住宅建築計画発案!……遂行中?
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「なまえ! 新しい家だ! 家を作るぞ!」
「……家?」
久しぶりに帰宅したと思えば一斗は開口一番なまえにそう宣言した。それを聞いてなまえは真っ先にこの家もそう古いものではなかったはず、なんてことを考えた。そして鬼婆婆の了解は得ているのだろうか、とも。そもそもこの家は天井も高めに作られていて背の高い一斗にもあまり不自由はなく、気に入っていたはずだがと首を傾げる。なぜそのようなことを突然言い出すのか。一体どう言うことなのだろうかとなまえは考えた。すると一つの思いに辿りついた。だから水瓶に溜めた水を柄杓ですくい取り、豪快に飲んでいる一斗になまえは意を決して問いかけてみることにした。
「もしかして別居するんですか?」
「……ぶっ!」
「えっ、だ、大丈夫!?」
突拍子もないなまえの言葉に一斗は水を喉に詰まらせた。まさかそんなことになるとは思わずなまえは慌てて咽せる一斗に駆け寄り、彼の背中を撫でる。しばらくして一斗の様子が少し落ち着いたところで食事の支度をしていたために着物の上に前掛けを着用していたなまえはそこに挟んでいた手拭いをとって彼の口元に寄せた。
なまえが一斗の口元から優しく押し当てるように水気を吸い取っていたが、そんなまどろっこしい方法で彼が大人しくしているはずもない。あまり時間の経たないうちになまえから手拭いを受け取ると水で濡れてしまった顔を自分で豪快に拭った。それから少し乱れた髪を自前の櫛で溶かして、少しだけ気を落ち着かせてから一斗は心配そうにこちらを見てくるなまえに問う。
「……誰と誰だ」
「……え?」
「その、別居するやつだよ。お前がさっき言ってただろ」
「えっと、私と……あなたが?」
「はあ!? 何言ってんだ!?」
なまえが正直に考えを口にすると一斗は驚きのまま彼女に詰め寄った。身長差のせいで追い詰められているように見えてはいるがそれはなまえにとっては慣れたことだった。一斗がなまえに圧力をかけようなんてそんな考えもないこともわかっているので彼女はその体勢を気にするはない。しかし彼の突拍子もないともいえるその発言の意図が読めずに言葉の歯切れは悪い。
「でも、この家はどこも壊れてないし……、あなたが出ていくのかと思って……」
「んなわけねぇだろ! なんで俺様たちが別居すんだよ!?」
「だって、あなたが新しい家を……」
「ああ!? なんだそれ、ちげぇよ。それは俺様たちの家じゃなくてオニカブトムシのだよ」
「オニカブトムシ? ……ああ、一斗くん好きだもんね」
そもそも別居するのにわざわざ家建てる奴なんていねぇだろ、と一斗がブツブツと文句を言っているなか、なまえは一斗の発した言葉を拾い上げてようやく納得した。
一斗との食い違いを話し合うことで擦り合わせて納得したなまえは、ほっと胸を撫で下ろした。そこでようやく自分が一斗の言動に不安を覚えていたことに気がついた。突拍子もない一斗の発言に驚いて自身の感情の本質的な意味に気が付いていなかっただけだったのかもしれない。
それはともかく一斗にとって、オニカブトムシ同士を競って戦わせる虫相撲という競技はひどく魅了されるものらしい。そういえば鬼族のいざこざの時に関わった大輔という少年とも楽しそうに虫相撲をしていたし、虫相撲の奥深さについてなまえに語ることも何度かあった。
それから先日、なまえの元にやってきた一斗達荒瀧派の頼りになる二番手である久岐忍がその虫相撲に関連して少年がどうとか言っていたようなことも思い出した。それから彼女は私用のために忙しいためか会えなくてあの話がどうなったのかわからない。でもその後、同じく荒瀧派の一員である晃から手渡された彼女からの手紙によるともうすぐ帰ってくるらしいからその時に話を聞くことにしよう。
「それでオニカブトムシの訓練施設を作るんだよ! この間新しく知り合ったじいさんに色々聞いてよ! これで俺様、荒瀧真剣虫相撲大鬼王一斗様の『赤紅一杵』をさらに強くすることができるぜ!」
「それならよかった! それに、またお友達が増えたのね」
「おう! この間、真剣虫相撲大鬼王である俺様にオニカブトムシで挑んできた花角玉将のじいさんなんだけどよ。このじいさんがまた凄え奴なんだ!」
「花角、玉将……? なんか一斗くんの考えるあだ名みたい……」
花角玉将と聞いてなまえが思ったのはそんなことだった。前に友人から競技に参加するときは本名とは違う名前を名乗ることがあることを聞いた事があった。教えてくれた友人はスメールでキノコ? と一緒に何やら新たな競技を楽しんできたらしい。その際に彼女は自身の好物をもじった名前にしていたというから、この名前もおそらくそういう類のものなのだろうと思った。
「なまえ! だから、俺様のあれはあだ名じゃねえっつってんだろ!」
「ふふ、ごめんね。でも私はその花角玉将さんよりも一斗くんの考えるその称号の方が好きですよ?」
なまえに褒められて一斗の機嫌はすぐに治った。先ほどの不満もどこへやら、「さすが鬼王の嫁だ」などと彼は調子良く大声で笑いながら、なまえに今回の花角玉将との熱戦を楽しそうに語った。
「俺様の勇姿をお前にも見せたかったぜ!!」
最後にそんなことを言うから、基本的に荒瀧派の行動に関与していないなまえもその誘いに乗りたいと思った。
「じゃあ今度は見に行かせてね。一斗くんの活躍はお話で聞くより一緒に見たいから」
「おう! それなら今度はなまえも一緒に来ると良いぜ!」
乗り気になったなまえの答えが嬉しくて、ガハハと豪快に笑いながら一斗は調子良く言葉を返してみせた。だがそんなことをすれば、9,000モラもする「威嚇塗装」をオニカブトムシに塗っていたことがバレたり、旅人が荒瀧派の親分に間違えられた等の決して勇姿とは言えないような姿も見せるようなことになったりするかもしれないのだが、そんなことはすっかりなかったことにして忘れている一斗であった。
設定
なまえ
一斗の嫁。夕飯作りの最中。この後荒瀧派のみんなも手伝ってくれて仲良く食卓を囲んだ。
荒瀧一斗
オニカブトムシに熱中している。忍のお膳立てにより、ついに訓練施設を建てるところまでどハマりしてしまった。
花角玉将
虫相撲における一斗のライバル。まだ少年ながら驚くべき資金力と人材力を持っている。虫相撲は祖父から、一斗の存在は忍から教えてもらった。
花角玉将の祖父
元冒険者。孫である花角玉将に虫相撲を教え資金援助もしている。一斗にも色々と虫相撲についてご教授してくれる気前のいい人。
威嚇塗装
パイモン曰く、とても美味しそうなにおいがする。実はモンドから輸入されたヴァルベリーのジャム。9000モラ。その上に保護膜を塗ることで塗装が長持ちするらしい。