ほどけない結び目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……ふふ、旦那様。私も……、私も、旦那様とこうしてお話しできることは、とても尊いものだと感じております」
「そうだな。俺もそう思う」
赤い頬を指摘することなく私の言葉のみに対して反応してくれた旦那様の声はただ優しかった。柔らかい声を聞いて、なんだか旦那様に触れたくなった。温もりを感じたくなって私は徐に旦那様へと手を伸ばした。
「私達……同じ気持ち、ですね」
伸ばしたその手は旦那様の手と繋がれる。
「ああ。同じ気持ちだな」
座る私を見下ろして、また少し微笑んでくれた旦那様。繋がれた手は優しい。その優しさも好き。もう片手も伸ばすと握りしめられて、そのまま立ち上がった私に何も言わずとも引き寄せてくれた。流れにのって旦那様に抱き着いた。やっぱり幸せだと思う。そばにいられるだけで嬉しい。抱きしめられて腕に閉じ込められるとより旦那様を実感できる。そうすると胸がいっぱいになる。この人と共にずっと生きていたい。
それで、それで……、本当は、本当は皆に……、帰終ちゃんに……会いたい……。私の大切な友達。魔神の残滓が地の底で燻っているというのなら、帰終ちゃんもそこにいるのかな。それとも彼女の冠するその名の通り、塵になってしまったのだろうか。
彼女の最期を私は旦那様には聞けなかった。いなくなった多くの友の最期を聞けなかった。もういないという事実を知っているのにその詳細は未だに聞くことができない。もういない友達に会いたいなんて、そんなわがままとても言えない。こんな沈んだ気持ちで旦那様に顔向けはできない。
「……旦那様、もう少しだけ抱きしめていてくださいね」
だから私はそう強請るよりほかに考えられなかった。幸い意を汲んで私を抱き込んでくれた旦那様。
「――わがままを言ってごめんなさい、旦那様」
「謝らなくていい。急ぐ旅ではない。ゆっくり進んでいけば良いさ。俺達には時間がある」
そんな言葉と共に頭を優しく撫でられた。そんな旦那様に甘えるようにぎゅっとまわした腕に力をこめて、しばらく景色を堪能することもなく私は旦那様と抱き合っていた。
設定
なまえ
鍾離の嫁。自分の心を悟られないように抱き着いていたが、誰も通らなくてよかったと冷静になってから思った。人がいないからって、外で抱き着いてしまった自分にさらに恥ずかしくなった。
鍾離
客卿はお休みして旅行中の旦那様。 なまえにはあまり言わないが彼女が何を考えているかは大体わかっている。