君のことだけはそっとしておいてほしい
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その日の夜。冒険から帰ってきた3人と観光を終えたなまえは琉璃亭で夕食をとっていた。公子の財力かコネか、それとももともと予約をしていたのかはわからないが無事に席の確保はできたようだ。まさかまた琉璃亭でご飯を食べることができるとは思わなかったパイモンの機嫌はとても良い。食事をしながらお互いのことを話してなまえはタルタリヤだけではなく空とパイモンとも交流を深めることができた。食事を終え、琉璃亭の外に出た4人。
「じゃあ俺はなまえちゃんを送って行くよ」
「今日はお話できて良かった。ありがとう空くん、パイモンちゃん」
タルタリヤの隣で手を振るなまえ。
「俺達の方こそありがとう」
「美味しいものをありがとうな!なまえも話せて楽しかったぞ!!」
今回の夕食代は全てタルタリヤの財布から支払われたのでその礼も兼ねて空とパイモンは礼を言った。その後、簡単に別れの挨拶をして2人はなまえ達に背を向けて歩いていった。見えなくなるまで2人の姿を見送ったなまえはタルタリヤの顔を見た。
「2人とも元気だね」
「そうだね。さて、なまえちゃん送るよ」
「ありがとう。タルタリヤさん」
琉璃亭からなまえの宿泊する旅館までの距離はそう遠くない。埠頭に向かう階段を2人で降りる。璃月港の夜は長い。それはテイワット最大の貿易港なだけあって様々な人がいるからだ。だから夜でも騒がしく明るい。そんな中、特に会話もなく歩いていく。先程空達と一緒にいた時のような楽しげな雰囲気は見られなかった。ただ静かだった。
特に会話をすることもなく、ただ並んで無言で歩く姿は彼らの関係性を不思議に思わせるだろう。だが彼らを見届ける人など今はいない。静かな雰囲気を漂わせたまま旅館に到着した。そこでようやくなまえはタルタリヤに声をかけた。もう少し話がしたい、と。そのままなまえが滞在する部屋に案内されたタルタリヤはその部屋の扉を閉めた。
「今日はありがとうなまえちゃん」
「大丈夫だよ。気にしないでタルタリヤさん」
わざとらしく名前を呼び合って。2人はそんな自分たちがおかしくなってくすくすと笑いあう。その笑いが気の緩みに繋がった。なまえにもたらしたその緩みは彼女のタルタリヤに再会してからの緊張を解いてしまった。
「ふふっ……、おかしいね、私達。ねえ……、――」
なまえは呼び掛けた彼の名前を口に出すことはできなかった。その時、なまえには何があったのかは理解できなかった。ただ気がつくと極めて至近距離でタルタリヤと目があって彼の神の目よりも深い青の瞳の中になまえは自身を見つけた。
「……周りに人がいないとはいえ、誰がどこで聞いているかわからない。璃月にいる間は俺のことはどうかタルタリヤと呼んでほしい」
目を合わせたままタルタリヤは自然な動きでなまえの手をとった。そのまま腕を上げて彼女の指にくちづける。
「……タルタリヤ」
「そう。俺の名前はタルタリヤだよなまえちゃん」
わざと彼女の手を唇によせたまま話しだす。彼が言葉を紡ぐたびにタルタリヤの吐息が指に当たる。なまえはそのくすぐったさに身を捩らせた。そんな彼女の態度がつないだ指先から伝わって。彼はそんな彼女の変わらない姿に懐かしい故郷を思い出した。
「それでどうしたんだいなまえ」
「……私、岩神が死んだと聞いてあなたが本当に心配だったから……。今日は会えて良かったって、言いたくて」
「……うん。俺もなまえに会えて良かった」
笑う彼の顔は優しかった。そんな彼の様子になまえは心臓の鼓動が聞こえるほどドキドキとしていた。指先から伝わる熱も、彼の声色の優しさも全てがひどくなまえの心を揺さぶった。触れる手も優しいのに、彼の手は戦士らしく硬い。武器を扱う人の手だった。それが少しなまえは悲しかった。
もちろん彼が戦うことが好きなのも知っている。家族を大切にする姿だって本物だ。弟妹達をはじめとした家族を思いやる優しさも、戦いを楽しむ姿も彼の本物。彼はその二つの均衡をうまく守っている。でも彼の傷つく姿を見たくないなまえがいる。それは彼に対するある意味での侮辱になるのかもしれない。どうか無事でいて欲しい。だからいつも彼に対して無事を祈ろうとする。
「あのね、タルタリヤ……」
だけど彼はいつだってなまえの祈りを聞いてはくれない。
「私は……いつだってあなたのこと、」
少し悲しそうになまえがタルタリヤを呼ぶと彼は彼女の言葉の先を封じるように抱きこんだ。そのまま彼女に発言させないように彼は言葉を重ねる。安心させるように彼女の背中を軽く撫でる。
「……大丈夫。お前は何も心配しなくていいんだなまえ」
「……」
タルタリヤの言葉になまえは何も答えなかった。次に彼がなまえに言い聞かせる言葉はいつも同じだったから。
「だから、お前はこれまで通り安全なところで生きてくれ」
その神の目を使わずに済むような危険のない場所で。
彼女が返事の代わりに彼の背中をぽんぽんと軽く叩く。それから彼の上着をぎゅっと握りしめるのもいつも同じだった。その動きにつられてなまえの長い上衣に隠された神の目がきらりと光った。
設定
なまえ
おもちゃ販売員と名乗るタルタリヤの知り合い? タルタリヤがファデュイということもコードネームということも知っている。
タルタリヤ
公子。みんなのお財布。人前ではなまえのことをなまえちゃんと呼ぶが二人きりになると呼び捨て率が高くなる。