ずっと迷惑な君でいてね
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「ナラなまえ、マラーナには気をつけて」
なまえの小さな友達は別れ際にいつもそんな警告をしてくれた。
忙しさゆえに夢の中に入ることは以前と比べれば格段に少なくなったけれど、向かえばいつでも歓迎してくれるその友達のことがなまえは大好きだった。
だからなまえは森の奥に行く。
ヴァナラーナと呼ばれるそこはかつて夢の中へと逃げ込んだアランナラ達の住まいである。
「ナラなまえ、それなに?」
「んー? 道具だよ。これで壁の補修をするの」
なまえがヴァナラーナに着いた時に最初に気が付いたアランナラが彼女の手に見慣れぬ物を見つけて問いかけてきた。
「あ、ナラの友達」
「ナラなまえだ」
「ナラなまえ、元気か?」
ナラの友達が来たことによって近くにいたアランナラ達もわらわらと集まってきた。
なまえの膝丈ぐらいのアランナラ達をなまえはとても気に入っていた。
彼らは森の精霊と呼ばれ、夢の中の住人でもあるが時折現実世界にいることもある。
「この間の穴あいたところ?」
「そうそう。穴あいてたら大変だろうからね」
「そうなの?」
「?」
想定外の穴というのは物にとっては欠陥だ。
放置しておいたら重大事故に繋がる可能性があるかもしれない。
だから直した方がいい。
そう思ってなまえは日をおかずに予定を空けてヴァナラーナにやってきた。
それなのにアランナラ達の反応は呑気なものだったから不思議に思った。
小首を傾げたなまえに彼女を取り囲んでいたアランナラ達は言った。
「別の入り口できて楽しい!」
「アランバリカが挟まってた」
「皆でアランバリカを引っ張った」
「だけどアランバリカは動かない。だからアランラカラリでアランバリカは挟まらなくなった」
「アランバリカのアランラカラリはすごい! 皆通れるようになった」
「すごい」「すごい!」
「…………え?」
アランバリカの話題ではしゃぐアランナラ達になまえは耳を疑った。
アランバリカのアランラカラリがすごいことはなまえも知っている。
アランダーシャのアランラカラリがすごいとアランバリカはいつも言うけど、なまえにしてみればアランバリカの努力だって素晴らしいものだ。
だってあんなに小さな――アランナラの中では大きい方であるが――体でその数倍の大きさの遺跡守衛を瞬く間に倒してしまうのだから。
だがそれと今の話は別だ。
嫌な予感がすると今更ながらに思い始めてきて悩むように顔を顰める。
「どうかした?」「ナラなまえどうした?」
「えー……、えっと、もしかして穴大きくなった……?」
「大きくなった!」
「みんな通れる!」「新しい出入り口!」「穴通るの楽しい!」
「アランバリカはすごい!」「すごい!」「すごい!!」
「や、やっぱり……」
アランバリカの偉業を褒め称えるためにまた騒ぎ出したアランナラ達を前になまえはどうしようかと頭を抱えた。