呪われた夜を超えて
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明霄の灯を見た後、魈は望舒旅館に戻らずになまえの元へと行った。いつものように竹林にいるかと思ったが今回は違っていた。竹林のさらに奥に進んだヒルチャールもいない山の中腹になまえはいた。霄灯を灯すためになまえは人気のないところに来たのだ。
「なまえ」
「魈……? どうしたの? ……よくここがわかったね」
岩に腰掛けていたなまえの手には武器が握られていた。だが名前を呼ばれて魈の姿を見て武器を下ろす。
「明霄の灯を見てきた」
「……え? 本当に? 空さん達うまくいったんだ……」
なまえは空達がうまくことを進めてくれたのかと2人に感謝した。彼らに頼んで良かったとそう思った。なまえの左隣に腰掛けた魈は木に吊るされた霄灯を見つめた。暗い場所で明るく辺りを照らしている。霧が立ち込め、月明かりの届かないその場所で仄かな明るさだけが2人を照らしていた。
「……、これは?」
「空さんとパイモンさんがくれたの。せめて雰囲気だけでもって……素敵だよね」
「……ああ、そうだな」
空の作った霄灯。なまえは隣に座る魈の手にそっと触れた。魈は何も言わずになまえの手を握りしめた。指を絡めてぎゅっと握ればなまえも握り返す。
「今日は、我がそばにいる。だからなまえは安心していればいい」
「うん。……ありがとう」
なまえは魈の肩にもたれた。明霄の灯が飛ばされたのなら呪いは時期に落ち着くだろう。もし何かあってもなまえは対処できる。それだけの月日が経った。それに魈がそばにいてくれる。ひとりでいるよりもずっと気持ちが落ち着いた。
「私は霄灯の灯がとても好き。暖かくて優しい光……あなたと同じだから」
“彼”が岩王帝君によって魈という名に変わっても彼はずっと優しいままだった。魈は以前の自分とは違うと言っていたが本質的な優しさは何も変わらない。なまえに触れる手はいつだって優しかった。ぬくもりを共有してる時もそばにいる時もいない時も、ずっと守ってくれた。なまえが彼にできることはもうないのに魈はなまえから離れなかった。
――私と一緒にいてくれますか?
あの時交わした契りは今も破られずに続いている。
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なまえ
全力が出せない仙人。魔神を殺した時に本当はひとりで死のうと思っていたが、自分の欲のためにひとりになることを選べなかった。だからせめて魔神の呪いが強まるときだけは彼と離れていようと決心した。
魈
降魔大聖。利己心によってひとりになろうとしたなまえをつなぎとめたことを自覚している。だが、お互いが自分の欲を優先した結果だという事は知らない。
空
パイモンとはニコイチ認識されている。パイモンの発想力によって魈を海灯祭に連れ出すことができた今回の最大の功労者。