璃月で起こったとある不運で幸運な1日のこと
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君の祈りは知っている続き
「――あ、」
その時、思いがけず石につまずいてしまったのは私が舗装されていない道を歩くことにすっかり不慣れになってしまったからでした。
そうしてつまずいた時、同時に踏ん張ろうとしたもう片足の下駄の鼻緒が切れてしまいました。
これは私のせいとは一概に言い難いものでございます。
とにかくそれを認識する間もなく、私は空を仰いでおりました。
青く澄んだ空でございます。
不運な私とは正反対の澄み渡るほどの綺麗な青空。
雷鳴轟くことの多い稲妻とは違い、山野が広がるこの地は岩の神が治めていた七国のひとつである璃月でした。
「なまえ!! ……大丈夫か!?」
「……か、万葉さま……」
戦えない私の無事を確保するために少し先を歩いていた万葉様の声が近づいてきました。
少し慌てた様子は普段の穏やかな声色とは異なっていることは明白でございます。
「わ、私なら大丈夫、です……」
現在、私は稲妻を出て万葉様と共に璃月におります。
兄上の墓前で万葉様に誘われたように私は彼について璃月に来たのです。
北斗さん――北斗様とお呼びしたら堅苦しい言い方はよしてくれと言われました――が船長を務める船に私も乗せてもらって万葉様と一緒に稲妻を後にしました。
璃月までの船旅は幾日かかかり、その間に船員の方々と同船した旅人さんにはとても良くしていただきました。
船に慣れてないということで酔い止めを用意してくださったり、万葉の嫁はかわいいだとか揶揄われたりもしましたが彼らと共に船にいるのはとても楽しく、いつまでも共にいたいと思えたほどでした。
でも残念ながら船の旅というものはいつまでも続きません。
璃月に到着し、鎖国をしていた稲妻との活気の違いにとても驚かされました。
旅を続けるという旅人さんとそのお仲間のパイモンさんとはここでお別れをいたしました。
お二人を見送ってから万葉様は私に璃月を案内すると教えてくださり、北斗さんも副船長の重佐さんも行ってきなと快く送り出してくださいました。
ですから私達はこうして璃月の山野を歩いているというわけなのです。
.
「なまえ……! 怪我はないでござるか?」
「万葉さま……私は、……」
脱げて飛んでいってしまった片方の下駄を持った万葉様が私のそばまで近寄ってこられました。
そしてまだ仰向けに転がったまま起きあがろうとしない私の捲れ上がった袴の裾を何も言わずにそっと直してくださいました。
「あ、……も、申し訳ございません」
「かまわぬよ。なまえが無事で良かった」
そんな万葉様の姿に私ははしたない格好をしていたのだと気がついて恥ずかしくなりました。
稲妻から出るにあたって、着物から袴に変えていて良うございました。
璃月は岩の国ということもあり、平坦な土地ではないからです。
それに私たちはこれからも旅を続けるのだから動きやすい装いの方が良いのでございます。
足を上げるような動作もしなければならない時もあると思い、万葉様の助言も受け装いを旅装へと変えたのでした。
少しだけ丈の短い着物という手もありましたが、本当に袴にして正解でした。
もし今、袴を着用していなかったらと考えると……いいえ、そんなことは考えたくもない。
「何かにつまずいた後、不運にも鼻緒が切れたようでござるな」
万葉様が手にした下駄の鼻緒が切れてしまったことを私に教えてくれました。
それから、隣にしゃがんで倒れたままの私の背中に手を入れて起こしてくださいました。
「なまえの転んだ瞬間は見逃してしまったが、頭は打っておらぬか? どこか痛いところはないでござるか?」
「いえ……、頭は打っておりませぬ。えっと、おそらく背中を少し打ち付けましたが、幸いこの草花が私を守ってくれました」
あまりに突然の出来事でどういう転び方をしたのか覚えていませんが、頭は痛くありません。
岩の国と呼ばれる璃月ではございますが幸いにも私が倒れた場所には草花が咲き乱れる場所で石もありませんでした。
背中だって、動けないほどの痛みではありません。
むしろ、痛みはほとんどないのです。
私がなかなか起き上がれなかったのは単純に突然の出来事に混乱していたからです。
それを万葉様にお伝えすると、少し休憩しようかと私に提案してくださいました。
「――あ、」
その時、思いがけず石につまずいてしまったのは私が舗装されていない道を歩くことにすっかり不慣れになってしまったからでした。
そうしてつまずいた時、同時に踏ん張ろうとしたもう片足の下駄の鼻緒が切れてしまいました。
これは私のせいとは一概に言い難いものでございます。
とにかくそれを認識する間もなく、私は空を仰いでおりました。
青く澄んだ空でございます。
不運な私とは正反対の澄み渡るほどの綺麗な青空。
雷鳴轟くことの多い稲妻とは違い、山野が広がるこの地は岩の神が治めていた七国のひとつである璃月でした。
「なまえ!! ……大丈夫か!?」
「……か、万葉さま……」
戦えない私の無事を確保するために少し先を歩いていた万葉様の声が近づいてきました。
少し慌てた様子は普段の穏やかな声色とは異なっていることは明白でございます。
「わ、私なら大丈夫、です……」
現在、私は稲妻を出て万葉様と共に璃月におります。
兄上の墓前で万葉様に誘われたように私は彼について璃月に来たのです。
北斗さん――北斗様とお呼びしたら堅苦しい言い方はよしてくれと言われました――が船長を務める船に私も乗せてもらって万葉様と一緒に稲妻を後にしました。
璃月までの船旅は幾日かかかり、その間に船員の方々と同船した旅人さんにはとても良くしていただきました。
船に慣れてないということで酔い止めを用意してくださったり、万葉の嫁はかわいいだとか揶揄われたりもしましたが彼らと共に船にいるのはとても楽しく、いつまでも共にいたいと思えたほどでした。
でも残念ながら船の旅というものはいつまでも続きません。
璃月に到着し、鎖国をしていた稲妻との活気の違いにとても驚かされました。
旅を続けるという旅人さんとそのお仲間のパイモンさんとはここでお別れをいたしました。
お二人を見送ってから万葉様は私に璃月を案内すると教えてくださり、北斗さんも副船長の重佐さんも行ってきなと快く送り出してくださいました。
ですから私達はこうして璃月の山野を歩いているというわけなのです。
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「なまえ……! 怪我はないでござるか?」
「万葉さま……私は、……」
脱げて飛んでいってしまった片方の下駄を持った万葉様が私のそばまで近寄ってこられました。
そしてまだ仰向けに転がったまま起きあがろうとしない私の捲れ上がった袴の裾を何も言わずにそっと直してくださいました。
「あ、……も、申し訳ございません」
「かまわぬよ。なまえが無事で良かった」
そんな万葉様の姿に私ははしたない格好をしていたのだと気がついて恥ずかしくなりました。
稲妻から出るにあたって、着物から袴に変えていて良うございました。
璃月は岩の国ということもあり、平坦な土地ではないからです。
それに私たちはこれからも旅を続けるのだから動きやすい装いの方が良いのでございます。
足を上げるような動作もしなければならない時もあると思い、万葉様の助言も受け装いを旅装へと変えたのでした。
少しだけ丈の短い着物という手もありましたが、本当に袴にして正解でした。
もし今、袴を着用していなかったらと考えると……いいえ、そんなことは考えたくもない。
「何かにつまずいた後、不運にも鼻緒が切れたようでござるな」
万葉様が手にした下駄の鼻緒が切れてしまったことを私に教えてくれました。
それから、隣にしゃがんで倒れたままの私の背中に手を入れて起こしてくださいました。
「なまえの転んだ瞬間は見逃してしまったが、頭は打っておらぬか? どこか痛いところはないでござるか?」
「いえ……、頭は打っておりませぬ。えっと、おそらく背中を少し打ち付けましたが、幸いこの草花が私を守ってくれました」
あまりに突然の出来事でどういう転び方をしたのか覚えていませんが、頭は痛くありません。
岩の国と呼ばれる璃月ではございますが幸いにも私が倒れた場所には草花が咲き乱れる場所で石もありませんでした。
背中だって、動けないほどの痛みではありません。
むしろ、痛みはほとんどないのです。
私がなかなか起き上がれなかったのは単純に突然の出来事に混乱していたからです。
それを万葉様にお伝えすると、少し休憩しようかと私に提案してくださいました。