八十の灯だけが知っている
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見送ったなまえは2人からもらった霄灯を手に薄暗い道を1人歩いていた。人気のない方へと向かいながらも、薄暗い竹林から出て明るさを求めた。近くに魔物の気配がないことも確認して岩場に座る。
「霄灯……」
なまえは霄灯をあらためてしっかり見ようと思ったのだ。空はこれを作ったと言っていた。彼は何度か作ったことがあるのだろうか。とても精巧に作られていて触るのが躊躇われる。火を灯せば、なまえが昔見たあのキラキラした灯りをはじめてもっと間近で見ることができる。かつて風に流され落ちた霄灯なら見たことがあった。しかし、それはもう灯としての機能は失っていて残念な気持ちになった思い出が脳裏によぎる。
「(夜になる前に火を灯そう)」
もう直ぐ満月になる。そろそろ海灯祭も本番だ。体に巣食う呪いも力を増している。空達にあった時に制御できる範囲でよかった。今はまだなまえ自身が制御できる範囲ではあるが、明霄の灯があがる満月には特に警戒しなければならない。人々の祈りが大きくなるほどこの身に宿る呪いも声をあげていくのだから。
「願い事はないけれど、火を灯すのはかまわないよね……」
なまえに願いなど何もない。呪いともずっと向き合ってきたことだ。誰かにどうにかしてもらおうなどと思ってもいない。敬うべき神はいても祈る神などいない。たとえ願いがあったとしても書いて願いが叶うことなどあるはずがない。
それでも宵闇に浮かぶ霄灯の明るさにかつてのなまえは励まされた。
――
ごく稀に呪いが弱いままの年がある。地中に眠る魔神達の残滓も同じようで、その時に魈と共に璃月港の近くまで行って海灯祭を見たことがある。はじめて見た海灯祭は浮かぶ霄灯の数に驚き、闇夜を照らす暖かい光に胸を打たれて思わず泣いてしまった。涙を流していたことに最初に気づいたのはなまえ自身ではなく隣にいた魈だった。
「――なまえ、?」
「……」
黙ったままの彼女の頬に彼の手が触れた。そこでようやくなまえは横にいたはずの魈が目の前にいることに気付いた。
「魈?」
なまえが魈の名前を呼ぶのと同時に彼が彼女の目元を拭う。
「なぜお前が泣くのか我にはわからない。だが黙って1人で泣くな」
「泣く? ……わたし……泣いてた……?」
「気づいてなかったのか?」
驚いたようなその声は魈の本心だろう。動揺するなまえからまだ溢れてくる涙を彼は手慣れたようにぬぐってくれた。彼の好きにさせたままなまえは笑いかける。
「……うん。でも私は悲しくて泣いてたんじゃないよ。だから大丈夫」
頬に添えられたままの魈の手になまえは触れた。
「魈、私は大丈夫。……でも、あなたが心配してくれて嬉しい」
まだ少し心配そうな雰囲気を感じとれるがなまえの素直な言葉に納得してくれたようだ。手袋越しのために温もりは感じられないけれど彼の優しさをなまえはずっと知っている。
「海灯祭見られてよかった。一緒に来てくれて、私のわがままに付き合ってくれてありがとう」
霄灯の灯が眩しく光る中、なまえは重ねた魈の手から自らの手を離す。代わりに両の手を彼の頬へと添えた。しっかりと魈の目を見つめてなまえはあらためて思いを伝える。
「本当にありがとう。私、忘れないわ。この灯も璃月の人々の願いも。そして、私をここまで連れてきてくれたあなたの優しさも」
たとえひとりで過ごすことが辛くても、この霄灯達と連れてきてくれた彼の優しさを忘れなければ乗り越えていけると思った。
――
霄灯には人々の願いがのせられる。それと同時に璃月を建国するために尽力した仙人達への感謝を伝えるものでもある。誰かの暖かい気持ちがこめられているのが霄灯なのだ。
だから空とパイモンの2人がくれたこの霄灯もきっと、暖かくて優しい光をなまえにもたらしてくれるだろう。
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なまえ
ずっと前にとある魔神を殺し魔神に呪われた仙人。普段は自身の仙力で抑制できているが、海灯祭期間中は他の魔神に共鳴して魔神の呪いを押さえつけられずに周囲に影響を与えてしまう。この期間中は特に魔物が寄り付きやすく、彼女の周りは強い魔物がいる。だから、海灯祭中は人気のないところに1人でひっそりと過ごしている。軽策荘の横の竹林が一番気分が落ち着く。でも最近郊外に出てくる凡人が多いために少し困っている。
魈
降魔大聖。海灯祭中は自身も契約の履行のため忙しくしている。そのためになまえのそばにいれないことを気にしてる。
空
璃月人でもないのにめちゃくちゃ海灯祭に尽力したお人好し。霄灯は魔物やらなんやらを狩りまくり合成台で合成しまくったのでたくさん持っている。なまえとは(魔神任務中に)望舒旅館で一度しか会っていないが前と様子が違うので気になっている。