宴がはじまるその前に
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「モンドの酒場はお酒がなくとも賑やかなのですね」
カウンターからほど近いテーブル席に腰掛けて、それなりに客の入っている店内を見渡しながらなまえが鍾離に話しかけた。
「そうだな。この店はどうやらこの国で一番有名な酒場らしい。特に繁盛しているようだ」
「さすが酒の国ですね。あの詩人が飲兵衛になってしまうのは仕方のないことかもしれませんね」
なまえはこの国での知り合いを思い出しながらくすくすと笑った。
酒飲み詩人といえば思い当たるのは1人しかいない。
あの飄々としてなまえに絡んでくる調子の良い少年である。
見た目と中身の年齢が合っていないことは百も承知であるので彼の飲酒については何も不思議には思わない。
しかし彼は酒癖が少々悪い。
気が大きくなる程度ではあるが、それが鍾離としては気になる所らしい。
「そういえばあの詩人がおすすめだと言っていた蒲公英酒は美味しかったですよね! せっかく来たのですから買って帰りますか?」
「ふむ。そうだな……。昨日はお前に教えることしか考えてなかったが、……名案だな」
そんなことを話していると注文の品が出来上がったらしく、カウンターから出てくる空が見えた。
「待たせたな~!」
それからしばらくしてパイモンを連れ立って注文の品を持ってきた空が現れた。
「2人ともお待たせ。スイートシードル湖と濃い目の煙霞繁茶だよ」
「ありがとうございます」
冷たいジュースよりも湯気のある温かいお茶の方が香りは広がる。
だからなまえにも鍾離の前に置かれた煙霞繁茶のほのかに甘い香りがやってきていた。
「煙霞繁茶の良い香りがいたします。旅人さんは本当にお茶の淹れ方もお上手なのですね」
「おお! なまえもお茶の楽しみ方がわかってるんだな!! オイラたちも昨日鍾離に教えてもらったんだぞ!」
なまえの言葉にいち早く反応したのはパイモンだった。
どうやら昨日、鍾離にお茶を出した時に彼の「講義」を受けていたらしくお茶に対する知識を既に得ていたようだ。
「そうだったんですね! 何事も学ばれるのは良いことです。楽しいことがさらに楽しくなりますから」
「たしかにそうだな! 昨日鍾離に教えてもらってお茶に対する興味が湧いてきたよな!」
「そうだね。俺もお茶を飲むときは香りにも注意してみようと思ったからとても勉強にもなったよ」
なまえの答えにパイモンも空も納得した様子で各々が感想を教えてくれた。
パイモンと空の言葉はなまえにとって、夫のことを褒められたような気がしてとても嬉しいものだった。
そんな良い気分のままなまえは先ほど鍾離と話していた酒のことを尋ねることにした。
「あ、そうでした。こちらには蒲公英酒のボトル販売はされていますか?」
「うーん、オイラ達は体験バーテンダーだからちょっとわからないな……」
持ち帰りたいと尋ねたなまえに体験を行って初めて聞かれた質問だったのでパイモンも空も答えがわからなかった。
「俺たちにバーテンダーのやり方を教えてくれたチャールズさんに聞いてくるよ」
「そうだったのですか? すみません。私も一緒に行きましょうか?」
「なまえ、俺も行こう」
なまえが立ち上がると鍾離もまた手にした茶を置いた。
このままでは二人とも着いてきそうなので、空は聞いてくるだけだからと2人に待っていてもらうことにした。
友人とはいえ、客を連れ回すわけにはいかない。
それから空がカウンターの近くに控えていてくれるチャールズに尋ねたところアカツキワイナリーの直営店ということで販売も可能だと言われたのでそれを伝えた。
「お手間かけて申し訳ございません。ですが、ありがとうございます」
空達に礼を言ってから、なまえは「良かったですね旦那様!」と喜びながら鍾離に笑いかけた。
喜ぶ妻の様子に鍾離も小さな笑みを浮かべた。
それから、ジュースを飲み終えたなまえは鍾離と共にお茶を一杯追加で頼み、その味を堪能した後、礼を言って購入した酒を片手に2人で店を後にしたのだった。
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「モンドの酒場はお酒がなくとも賑やかなのですね」
カウンターからほど近いテーブル席に腰掛けて、それなりに客の入っている店内を見渡しながらなまえが鍾離に話しかけた。
「そうだな。この店はどうやらこの国で一番有名な酒場らしい。特に繁盛しているようだ」
「さすが酒の国ですね。あの詩人が飲兵衛になってしまうのは仕方のないことかもしれませんね」
なまえはこの国での知り合いを思い出しながらくすくすと笑った。
酒飲み詩人といえば思い当たるのは1人しかいない。
あの飄々としてなまえに絡んでくる調子の良い少年である。
見た目と中身の年齢が合っていないことは百も承知であるので彼の飲酒については何も不思議には思わない。
しかし彼は酒癖が少々悪い。
気が大きくなる程度ではあるが、それが鍾離としては気になる所らしい。
「そういえばあの詩人がおすすめだと言っていた蒲公英酒は美味しかったですよね! せっかく来たのですから買って帰りますか?」
「ふむ。そうだな……。昨日はお前に教えることしか考えてなかったが、……名案だな」
そんなことを話していると注文の品が出来上がったらしく、カウンターから出てくる空が見えた。
「待たせたな~!」
それからしばらくしてパイモンを連れ立って注文の品を持ってきた空が現れた。
「2人ともお待たせ。スイートシードル湖と濃い目の煙霞繁茶だよ」
「ありがとうございます」
冷たいジュースよりも湯気のある温かいお茶の方が香りは広がる。
だからなまえにも鍾離の前に置かれた煙霞繁茶のほのかに甘い香りがやってきていた。
「煙霞繁茶の良い香りがいたします。旅人さんは本当にお茶の淹れ方もお上手なのですね」
「おお! なまえもお茶の楽しみ方がわかってるんだな!! オイラたちも昨日鍾離に教えてもらったんだぞ!」
なまえの言葉にいち早く反応したのはパイモンだった。
どうやら昨日、鍾離にお茶を出した時に彼の「講義」を受けていたらしくお茶に対する知識を既に得ていたようだ。
「そうだったんですね! 何事も学ばれるのは良いことです。楽しいことがさらに楽しくなりますから」
「たしかにそうだな! 昨日鍾離に教えてもらってお茶に対する興味が湧いてきたよな!」
「そうだね。俺もお茶を飲むときは香りにも注意してみようと思ったからとても勉強にもなったよ」
なまえの答えにパイモンも空も納得した様子で各々が感想を教えてくれた。
パイモンと空の言葉はなまえにとって、夫のことを褒められたような気がしてとても嬉しいものだった。
そんな良い気分のままなまえは先ほど鍾離と話していた酒のことを尋ねることにした。
「あ、そうでした。こちらには蒲公英酒のボトル販売はされていますか?」
「うーん、オイラ達は体験バーテンダーだからちょっとわからないな……」
持ち帰りたいと尋ねたなまえに体験を行って初めて聞かれた質問だったのでパイモンも空も答えがわからなかった。
「俺たちにバーテンダーのやり方を教えてくれたチャールズさんに聞いてくるよ」
「そうだったのですか? すみません。私も一緒に行きましょうか?」
「なまえ、俺も行こう」
なまえが立ち上がると鍾離もまた手にした茶を置いた。
このままでは二人とも着いてきそうなので、空は聞いてくるだけだからと2人に待っていてもらうことにした。
友人とはいえ、客を連れ回すわけにはいかない。
それから空がカウンターの近くに控えていてくれるチャールズに尋ねたところアカツキワイナリーの直営店ということで販売も可能だと言われたのでそれを伝えた。
「お手間かけて申し訳ございません。ですが、ありがとうございます」
空達に礼を言ってから、なまえは「良かったですね旦那様!」と喜びながら鍾離に笑いかけた。
喜ぶ妻の様子に鍾離も小さな笑みを浮かべた。
それから、ジュースを飲み終えたなまえは鍾離と共にお茶を一杯追加で頼み、その味を堪能した後、礼を言って購入した酒を片手に2人で店を後にしたのだった。