雪原に揺蕩う幻を追いかけて
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注意
・なまえさん名前だけ登場
白を背に君が立っていた。
寒さゆえに少し赤くなった頬と鼻。
目も赤かったけれど、それは全く別の原因だということはわかっていた。
「―――――」
君が俺の名を呼んだ。
「――――……」
それから、俺に向かって何事か叫んでいたけれど強く吹く風が君の姿と共にその声までも消し去って、その時の君が何を言っていたのか聞き逃してしまった。
――
岩の国璃月郊外、太陽が真上にある昼間。
朽ちかけた遺跡の壁の向こうを覗き込んだパイモンはいつもとは違うその場所の様子に思わず声をあげた。
「……あれ? 何でお前がこんなところにいるんだよ!」
「ん? ……なんだ君たちか。君たちこそどうしてこんなところに?」
人気のない明るい遺跡群の一角でファデュイの公子と異邦の旅人、そしてその仲間は思いがけず再会した。
遺跡守衛のもつ核が必要になった旅人はそれを得るために遺跡巡りをしていたのだが、いつもは宝盗団の連中が屯している場所に今日はなぜかタルタリヤがいた。
もちろん宝盗団はその影すらもない。
「先に聞いたのはオイラたちだぞ! ……まあいいや。オイラたちは遺跡守衛の核を探しに来たんだ」
「君たちは相変わらず変な物を探しているね」
そう言って、タルタリヤはいつものように害のなさそうな笑みを浮かべた。
それと同時に手にしていた紙を畳む。
「……ん? それ手紙か?」
「まあね」
「あっ! もしかしてファデュイの悪巧みについて書かれてるんじゃないだろうな!」
対外的には人の良い彼にしては珍しく言葉少ななその返事にパイモンは怪しんだ。
そして手紙の中身がファデュイからの指令かと思って腕組みながらタルタリヤを怪しむ。
そんなパイモンの様子に首を振ったタルタリヤは手紙を懐に戻しながら否定する。
「まさか。……これは家族からの手紙だよ」
そう話すタルタリヤの顔はなんとも言えない優しさに溢れているような気がした。
その姿はパイモンの知っている彼とは違うような気がして告げようとしていた言葉の行き場を失ってしまう。
開きかけた口をそのままに何も言えないでいるパイモンに代わって今度は空が質問をする。
「家族って……この間会った弟のテウセル?」
「いや……、他の家族からだよ」
空とパイモンが出会ったタルタリヤの家族といえば彼の末の弟のテウセルだ。
なかなかのやんちゃ坊主らしく、末っ子ゆえに家族からは随分と甘やかされているらしい。
タルタリヤも弟をはじめとした家族のことは意外にも大切に思っているらしく、彼ら兄弟と共に「おもちゃ研究所」に行った時は彼の意外性を認識せざるを得なかった。
だから、ファデュイの執行官だとしても彼が家族からの手紙だと言うそれを大切にしていても全くおかしいとは思わなかった。
「そうだ。君たちはいろんなところに旅してるんだろう。璃月の花について何か知らないかい?」
「「……花?」」
花と言われて、二人は顔を見合わせた。
ファデュイの執行官が花なんて一体何の用があるのか。
パイモンが両腕を組んでタルタリヤに疑いの眼差しを向けた。
「それって……、何かの比喩か?」
「まさか。花は花だよ。璃月特産の花の種類とか咲いてる場所が知りたいんだ」
「ファデュイが花の種類なんて知ってどうするんだよ? あっ!……ま、まさか、花を使って悪いことをしようとしてるのか?!」
どこまでも警戒するパイモンにタルタリヤは居心地悪そうに頭をかいた。
苦笑しながらも座ったままの動こうとしない彼は本当に気分を害しているわけではないらしい。
「本当に信用ないなあ。さっきの手紙で璃月の花が知りたいって書いてあったんだよ。俺はあまり興味がないからね。君たちなら旅の途中でいろいろ見るものもあるかと思って聞いただけだよ」
「花が好きな子なんだな」
「まあね。スネージナヤは寒いところだからこことは植生が全然違うんだ。だから、なまえに教えてあげたいと思ってね」
「「……」」
「それなら、教えてやっても良いぞ! な、旅人!」
「ハハ……、それなら助かるよ」
パイモンの言葉に頷いた空。
そんな二人に君たちは容赦ないねとタルタリヤは笑った。
それからは素直に璃月の有名どころの花を二人はタルタリヤに教えることにした。
「璃月で有名な花といえば霓裳花か琉璃百合辺りだろうな。霓裳花は特に品種もいっぱいあるらしいぞ」
「霓裳花の品種とかは俺たちもあまり詳しくないから、もし気になるんだったら鍾離先生に聞いてみたらいいよ」
空の教えにあの客卿の姿を思い起こしながらタルタリヤは頷く。
しかし、タルタリヤはもうすぐ璃月から離れることになっているから、おそらく鍾離に会う暇はないだろうなとも考えていた。
・なまえさん名前だけ登場
白を背に君が立っていた。
寒さゆえに少し赤くなった頬と鼻。
目も赤かったけれど、それは全く別の原因だということはわかっていた。
「―――――」
君が俺の名を呼んだ。
「――――……」
それから、俺に向かって何事か叫んでいたけれど強く吹く風が君の姿と共にその声までも消し去って、その時の君が何を言っていたのか聞き逃してしまった。
――
岩の国璃月郊外、太陽が真上にある昼間。
朽ちかけた遺跡の壁の向こうを覗き込んだパイモンはいつもとは違うその場所の様子に思わず声をあげた。
「……あれ? 何でお前がこんなところにいるんだよ!」
「ん? ……なんだ君たちか。君たちこそどうしてこんなところに?」
人気のない明るい遺跡群の一角でファデュイの公子と異邦の旅人、そしてその仲間は思いがけず再会した。
遺跡守衛のもつ核が必要になった旅人はそれを得るために遺跡巡りをしていたのだが、いつもは宝盗団の連中が屯している場所に今日はなぜかタルタリヤがいた。
もちろん宝盗団はその影すらもない。
「先に聞いたのはオイラたちだぞ! ……まあいいや。オイラたちは遺跡守衛の核を探しに来たんだ」
「君たちは相変わらず変な物を探しているね」
そう言って、タルタリヤはいつものように害のなさそうな笑みを浮かべた。
それと同時に手にしていた紙を畳む。
「……ん? それ手紙か?」
「まあね」
「あっ! もしかしてファデュイの悪巧みについて書かれてるんじゃないだろうな!」
対外的には人の良い彼にしては珍しく言葉少ななその返事にパイモンは怪しんだ。
そして手紙の中身がファデュイからの指令かと思って腕組みながらタルタリヤを怪しむ。
そんなパイモンの様子に首を振ったタルタリヤは手紙を懐に戻しながら否定する。
「まさか。……これは家族からの手紙だよ」
そう話すタルタリヤの顔はなんとも言えない優しさに溢れているような気がした。
その姿はパイモンの知っている彼とは違うような気がして告げようとしていた言葉の行き場を失ってしまう。
開きかけた口をそのままに何も言えないでいるパイモンに代わって今度は空が質問をする。
「家族って……この間会った弟のテウセル?」
「いや……、他の家族からだよ」
空とパイモンが出会ったタルタリヤの家族といえば彼の末の弟のテウセルだ。
なかなかのやんちゃ坊主らしく、末っ子ゆえに家族からは随分と甘やかされているらしい。
タルタリヤも弟をはじめとした家族のことは意外にも大切に思っているらしく、彼ら兄弟と共に「おもちゃ研究所」に行った時は彼の意外性を認識せざるを得なかった。
だから、ファデュイの執行官だとしても彼が家族からの手紙だと言うそれを大切にしていても全くおかしいとは思わなかった。
「そうだ。君たちはいろんなところに旅してるんだろう。璃月の花について何か知らないかい?」
「「……花?」」
花と言われて、二人は顔を見合わせた。
ファデュイの執行官が花なんて一体何の用があるのか。
パイモンが両腕を組んでタルタリヤに疑いの眼差しを向けた。
「それって……、何かの比喩か?」
「まさか。花は花だよ。璃月特産の花の種類とか咲いてる場所が知りたいんだ」
「ファデュイが花の種類なんて知ってどうするんだよ? あっ!……ま、まさか、花を使って悪いことをしようとしてるのか?!」
どこまでも警戒するパイモンにタルタリヤは居心地悪そうに頭をかいた。
苦笑しながらも座ったままの動こうとしない彼は本当に気分を害しているわけではないらしい。
「本当に信用ないなあ。さっきの手紙で璃月の花が知りたいって書いてあったんだよ。俺はあまり興味がないからね。君たちなら旅の途中でいろいろ見るものもあるかと思って聞いただけだよ」
「花が好きな子なんだな」
「まあね。スネージナヤは寒いところだからこことは植生が全然違うんだ。だから、なまえに教えてあげたいと思ってね」
「「……」」
「それなら、教えてやっても良いぞ! な、旅人!」
「ハハ……、それなら助かるよ」
パイモンの言葉に頷いた空。
そんな二人に君たちは容赦ないねとタルタリヤは笑った。
それからは素直に璃月の有名どころの花を二人はタルタリヤに教えることにした。
「璃月で有名な花といえば霓裳花か琉璃百合辺りだろうな。霓裳花は特に品種もいっぱいあるらしいぞ」
「霓裳花の品種とかは俺たちもあまり詳しくないから、もし気になるんだったら鍾離先生に聞いてみたらいいよ」
空の教えにあの客卿の姿を思い起こしながらタルタリヤは頷く。
しかし、タルタリヤはもうすぐ璃月から離れることになっているから、おそらく鍾離に会う暇はないだろうなとも考えていた。