別れに立ち会う人は幸運である
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魈
「もうお別れだね」
短い付き合いだった。なまえと出会って別れるまでの期間は仙人としての一生に比べれば、ほんの一瞬だった。だけど、あの一瞬ほど心に残った瞬間はない。
岩王帝君に名をつけられた日。それが彼女との出会いの日でもあった。思えばそれからは事あるごとになまえは魈のそばに現れた。だからある時、なまえが突然言った一言をさして重要視しなかった。呼んでもいないのに来るのだからまた来るのだと思って大して気にもしなかった。それになまえが来なくとも何も問題ないと思っていた。
彼女がいることで動かされる思いはなく、いないことで彼女のことを考えることもなかった。なまえが目の前にいようがいまいが魈には何の関係もない。彼は夜叉として帝君に仕えて魔を滅するという存在理由ができた。だからこそ、それだけを考えて妖魔から弱い凡人を守れば良い。本当にそれだけをただ考えていられたのなら、彼はずっとなまえを思い出すこともなかったのに。
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