別れに立ち会う人は幸運である
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バーバラ
「もうお別れだね」
アリスさんがアイドルというものを教えてくれた時、それに食いついた私に気づいて紹介してくれたのがなまえだった。なまえは私よりも年上に見えて、それこそ私の姉と同じ年頃に見えた。
そのころの私は姉ぐらいの歳の人に苦手意識があった。それは姉に対する複雑な感情に起因するものだと言うことは言うまでもない。今でこそ、リサさんを姉のように慕い、実姉との距離も程よいものに保てているけれど、その頃の私は自分の感情に決着を見せぬまま見ないふりをすることで感情を誤魔化しひたすら前を見ていた。
だから、私はアイドルに憧れたのかもしれない。姉という絶対に乗り越えられない一族の誇りと呼ばれ尊ばれる彼女が羨ましくて、彼女に勝ちたい。誰かに認められたい。そんな気持ちが根底にあったのかもしれない。
なまえは私に雑誌よりも詳しくアイドルとは何かと教えてくれた。ダンスや歌を教えてくれて、アリスさんが計画したテイワットアイドルグループ計画に巻き込まれただけなのに私に熱心に教えてくれた。そして、私の気持ちを根底から覆すある一言を発したのもなまえだった。
アイドルとは奉仕である。なまえはそう言った。誰かを笑顔にするために、自分が心から楽しむ。誰か勇気づけるために努力する。誰かが……と他人のために自分の価値を高めるのだとなまえは教えてくれた。姉に対しての劣等感からアイドルを志した私は恥ずかしくなった。でも、彼女はそんな私の事を知った時、今のバーバラはそんなことないと言って励ましてくれた。
その日から私は変わった。それから私は姉に対する劣等感とちゃんと向き合って、姉を姉として見られるようになった。だから、アリスさんに計画が中止だと伝えてきた時、私はアイドルを続けようと思ったのだ。アイドルの意味を皆に知ってもらいたい。皆を勇気づけたいと思った。そうして、いつか私がモンド以外の人達にも知られるようになったら……。その時はなまえも喜んでくれる。ずっとそう信じて、私は今も皆の心を少しでも勇気づけるために、辛い人の気持ちに寄り添えるように歌を歌っている。
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