別れに立ち会う人は幸運である
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珊瑚宮心海
「もうお別れだね」
その言葉を心海になまえがどういった気持ちで告げたのか。どれほどの勇気が必要だったのか。その時は何も知らなかった。巫女の1人が口を滑らせなければ心海はずっと知らないままだった。
だからこそ皆一様に貝のように口を閉ざしたのだろう。若き現人神の巫女が正しくその職務を全うできるように。心海は正しく巫女としての地位を得た。だから、皆の判断は正しくて間違いのないものだった。
何かを存続させるためには何かを犠牲にしている。海祇島に住むものが明るい光を得るために地下に置いてきたものがあったように。そのことを詳しく知るものはもういない。
気の遠くなるほどの昔の話だから。けれど、だからといってそれらを蔑ろにしているわけではない。ただのエゴだと言われようと現人神の巫女である心海の心は間違いなく彼らに対する感謝でいっぱいだった。
その中に少しだけなまえへの謝罪を込めて。あれが本当の別れであったと知っていたらもっと他にやりようはあったのに。
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