別れに立ち会う人は幸運である
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胡桃
「もうお別れだね」
青い空と青い海。背後には岩の連なる山々が見える。この場所はとりわけ世界と隔絶しているような気が胡桃には感じられた。その原因がなまえの言葉からきているものだと知っていたけれど、もうどうにもならなかった。
往生堂の生業は死と密接に関わっている。だからこそ、胡桃はその死に対して人よりもずっと理解している。死とは終わりではない。生へと続く新たなるはじまりでもある。そうやって連綿と生命の循環は続いていくのだ。だから誰かの死に対していつまでも嘆き続けるものではない。
そのはず、……そのはずなのに。それなのに、胡桃はずっとなまえのことを背負って引きずっている。最後に見たなまえの横顔がいつまでも忘れられない。あの時、胡桃が手を離さなければ別れは止められたのだろうか。
あの日、見た青が今でも夢に出てくる。
――
こっそり初胡桃。喋らせないから難しい。
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