別れに立ち会う人は幸運である
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ベネット
「もうお別れだね」
なまえが俺に、というよりは独り言のようにぽつりと漏らした。それが俺が聞いたなまえの最後の言葉だった。
新たに発見した秘境にひとりで入った俺はいつもの不運をこの日もいかんなく発揮していた。秘境に入ってすぐにどこからかあらわれた大量のヒルチャールに追われ、応戦した。けれど一向に数が減らないヒルチャールに為すすべなく撤退を余儀なくされた。その逃げる途中で道に迷い、穴に落ち、そこにスライムの群れがいた。と思えば燃えた岩が転がってきて、炎スライムはその炎の一部となって俺は追い詰められる。必死に走って逃げる途中、火の粉が飛んで少し火傷をした。なんとか見つけた待避所で突っ立っていたなまえと出会った。
彼女はこの秘境の秘密を教えてくれて、その奥にいる魔物を倒すのに協力を依頼してきた。それから、なまえと二人で力を合わせて秘境を攻略するために進んだ。なまえは先に来ていたようで俺よりも詳しく、大きな罠は事前に回避することができた。しかも彼女がそばにいてもなまえに不運が訪れることはなかった。もしかすると、なまえは俺の不運の影響を受けないほど幸運な人物なのかもしれないと期待した。もしそうならベニー冒険団に入ってくれないだろうか。
新たな冒険仲間に期待して俺はなまえの後に続いて奥へと向かった。そして、俺となまえは協力して奥に住まう恐ろしい魔物を倒すことができた。傷を負ってしまったけれど重傷というわけじゃない。動かなくなったその魔物を眺める。しばらくして、先程倒した魔物が消えると同時にガラガラと音を立てて出てきたそれは……――。
それが何か認識して、振り返ったけれど、なまえはもうそこにはいなかった。
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