出遅れハッピーバースデー
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モンドではある話が存在する。それは困った時は「ノーエールー!」と叫べば少女が助けに来てくれると言うものだ。ノエルとは少女の名前。西風騎士団でメイドをしながら騎士になる夢を抱く1人の少女。彼女は自らが憧れる騎士と同じように人助けをしている。そんな騎士見習の少女のとある半日のお話。
「ノエル! 探したよ~」
「なまえさま……? 呼んでいただけたら駆けつけましたのに」
ノエルは自分の名を呼ぶ声に振り返った。後ろから手を振りながら寄ってきたのは西風騎士団に所属するなまえだった。
「気にしないで! ねえ、時間があるならお茶しない? リサさんに良い茶葉もらったんだ~」
「それはかまいません。ですが、あの……」
なまえの話に頷くがノエルはお茶にあうお菓子を今持っていないことに気づいた。
「バーバラも待ってるから行こ!」
「バーバラちゃんも……? 待ってください。お菓子を作ってませんのでお時間をください」
「お菓子なら大丈夫! 私とバーバラで作ったからね」
なまえは戸惑うノエルにウインクをした。
「ほら、気にしないで! いつも作ってもらってるんだから~。ほらほら、メイドさんの時間は休憩だよ」
「なまえさま……!」
「もう! 騎士のなまえとメイドのノエルの時間は終わり~! これからは友達のノエルとなまえの時間だよ!」
「……ふふっ、わかりました。なまえちゃん、バーバラちゃんのところに案内してください!」
「わかった! じゃあ行くよ~!」
変わった呼び名に満足したなまえはノエルに笑いかけた。
―――
それからノエルが案内されたのはなまえの家だった。扉を開けると部屋の奥から歌声が聞こえる。
「バーバラまた歌ってる。いい旋律浮かんだのかな?」
「ふふ、そうかもしれませんね」
そんな風に話をしながら部屋へと向かう。旋律がやんだタイミングを計り2人は扉を開く。
「バーバラ! ノエル連れてきたよー!」
「バーバラちゃんお待たせしてすみません」
「なまえおかえりなさい。ノエル気にしないで大丈夫だよ!」
立ち上がったバーバラが2人を出迎える。にっこりと笑った顔はモンドのアイドルと言われるだけあってとても可愛らしい。
「さ、ノエル! ここに座って!」
「……え、でも」
「いいからいいから! 座って座ってー!」
バーバラが椅子を引いてノエルに促すとなまえが彼女の背中を押した。戸惑うノエルの意思は完全に無視されているようだ。
「ノエル! 何飲む?」
「え、あの私が淹れますよ?」
「いいの、ノエルは座っていて」
そうして2人の思惑がわからないままノエルは椅子に座らせられた。いつもならノエルが率先してお茶の準備をし、お菓子を取り分けているはずなのだ。だが今日は2人がまったく彼女を立ち上がらせてくれない。ノエルよりも少し時間はかかっているようだが2人で手分けしている分、時間はあまりかからなかった。ノエルが手持ち無沙汰からそわそわとしながら待っている。しばらくして、準備を終えたなまえとバーバラが3人掛けの円卓の前に座った。
「さてと、いただきますか!」
そう言っていつものように声をかけたなまえに返事の代わりにノエルがおずおずと口を開く。
「あ、あの……」
「どうしたの?」
「あの、どうして今日は全部用意してくれるのですか…?」
「「え?」」
ノエルの言葉にお茶会を始めようとしていた2人の手が止まる。2人の視線を一心に受けるノエルが震える手でスカートの裾をギュッと握る。そして、自らが抱いた不安を口にする。
「あ、あの……もしかして今まで私のお菓子とか美味しくなかったですか……?」
ノエルの言葉に2人はそんな言葉が出るとは思わず、すかさず反論した。
「えっ?! ち、ちがうよ!」
「そうだよ! ノエルのお菓子はいつだって美味しいわ!」
慌てるように言葉を紡ぎ出す2人を見る限り嘘をついている様子はないとノエルは判断した。しかしそれならなおさら疑問は募るばかりだ。
「では、どうして今日は……」
「えっと、それは……」
ノエルの問いに口籠るバーバラはなまえに視線を移した。つられてノエルもなまえを見る。
「後で言おうと思ってたんだけど……あの、この間ノエルの誕生日だったでしょ?」
なまえの言葉にノエルは皆から花束をもらったことを思い出した。
「その日は私が騎士団の任務でお祝いできなかったから、バーバラに相談したの」
「(それでお菓子もお茶も用意していてくださったんですね)」
「それで、バーバラがお茶会の時いつもノエルに作ってもらっているばかりだから……私達で作ろうって言ってくれて……だから、その、」
なまえが任務と重なったと言っていたのはノエルも覚えていた。泣きついてごめんねと謝られたのは記憶に新しい。
「だから、その……遅れてごめんね! お誕生日おめでとう!!」
力強くなまえが立ち上がったせいでテーブルが揺れる。お茶が溢れるから落ち着いてね、と優しく声をかけたのはバーバラだった。
「あのね、ノエル……。なまえはノエルの誕生日に祝えないことを本当に気にしていたの。だから、今日のお茶会のお菓子もお茶も私達で用意したんだよ」
「……そうだったんですね。私はてっきりお二人ともずっと私のお菓子を我慢して食べられていたのかと思って……」
バーバラの言葉に答えるノエルの声色はもう不安混じりのものではなかった。
「ノエルのお菓子はとっても美味しいから口に合わないかもしれないけど」
「そんなことありません! ……私とても嬉しいです。2人が用意してくれたこと本当に嬉しい……」
なまえは味についての不安を口にしたけれど、ノエルにはもうわかっていた。まだ口にすらしていないけど2人の作ったお菓子はきっととてもおいしい。
―――
誕生日にノエルは多くの人から祝いの言葉と花束をもらった。そしていつもありがとうと人々はノエルに笑顔で伝えた。ノエルはいつも人々の手助けをしていたけれど、それはノエルがやりたいからやっていたことだ。だからお礼を言われるようなことではないと思っていた。でも今日なまえとバーバラがノエルのために行ってくれたこのパーティでノエルは改めて思った。人々がノエルに感謝の言葉をくれるその意味を。
「皆さんが誕生日に花束をくださった時の気持ちが分かったような気がします……。ありがとう、2人とも」
そう言ってノエルは2人に笑いかけた。
設定
なまえ
騎士団員。ノエルの誕生日前後は任務でモンド城にはいなかった。そのため何かしたくてバーバラに相談した。ノエルに食べてもらうまではものすごくドキドキしてた。ちなみに茶葉はリサに頼んで探してもらっていた。
ノエル
騎士団に入りたいメイド。今回何にも用意させてもらえなくて本気でショックを受けてたけど理由を知って安心した。2人の作ったお菓子はやっぱりとても美味しかった。
バーバラ
アイドル兼牧師。お菓子作りが苦手ななまえのためにお菓子作りを手伝った。ノエルがおいしいと笑顔を見せてくれてとても嬉しい。