望まれない供犠
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なまえ達が足を踏み入れると同時にそれは3人の存在を認識した。
「―――『アビス』の秘奥、何人たりとも覗いてはならぬ」
そして、それは唐突に警告ともとれる言葉を紡いだ。
「ここに踏み入れたからには、相応の代価を支払ってもらうぞ」
それは敵だった。こんなところにいるのだ。味方の可能性はもともと低かった。やはりという思いが3人の中に浮かぶ。
「――裁きは、使徒が下す」
使徒。その言葉に3人は反応を示す。言葉にしたのはパイモンだった。
「『アビス』……『使徒』?」
「前にダインが言ってた……」
どこかで聞いたようなと考えはじめたパイモンに使徒を見つめたままの空が答えをあげる。そんな空の言葉に反応を返したのは意外にも「使徒」本人だった。
「ダイン? ダインスレイヴのことか?」
アビスの使徒はダインスレイヴのことを知っているようだった。彼のことを「しつこいの」と形容し、そして変革に足りうる力がないと見下しているようだった。
「『アビス』を阻止するなど……不可能!」
そう言ってアビスの使徒は3人に向かって攻撃を仕掛けてきた。戦闘が始まる。唐突にはじまったがなまえも空も覚悟はしていた。2人は素早く武器を構えた。自身をアビスの使徒だと名乗るそれは水の元素の力を借りているようだ。近くで対峙するとわかったことだがそれは想像以上に長身痩躯であった。なまえと空よりもずっと背が高く、リーチも長い。繰り出される剣戟も早い。2人の頭よりも上から出される攻撃は筋が読みづらかった。
手強い相手だが、2人にだって経験がある。数的優位を上手にとって交互に攻撃を加えていく。アビスの使徒の攻撃を受けとめて、こちらが切る。空をアビスの使徒が狙えばなまえがその隙をつく。2人でカバーしきれない死角はパイモンが担った。3人は連携して戦う。そうやってモンドと璃月の七天神像から得た元素の力も使いつつ、お互いをサポートしながら少しずつアビスの使徒を追い詰める。
しばらくして、ようやく膝をつかせることができた。だがそれでも油断はできない。アビスの使徒の一挙手一投足を見逃さないように2人は目を離さない。そんな時アビスの使徒が観念したように声を上げた。
「まさか、これほどの力とは……」
「「……」」
「しかし、この力……どこかで……」
何か思い当たることがあるかのように1人でぶつぶつと話しているアビスの使徒の言葉を耳に入れながらも警戒を怠らない。
「そうか。お前達は……あのお方の……! だとすれば、ここに長居するべきではないか……」
そこまで言うとおもむろに立ち上がった敵の姿に武器を握る手に力を込める。言葉の感じでは撤退しそうではあるが、こちらが油断した隙を狙う可能性もある。こちらに向かってくる可能性も考慮してまだ警戒して戦闘態勢を解かない。だがアビスの使徒はどこかに空間をつなげたかと思えばその中へと入りここから立ち去った。アビスの使徒の気配が完全に消えたことを確認して3人はようやく詰めていた息を吐いて脱力した。
「ふう……危なかったな。2人とも大丈夫か?」
武器をしまった2人にパイモンが近寄ってきた。2人は大丈夫だとパイモンに向かって頷いてみせた。
「はあ。疲れた……さっきの……アビスの使徒って言ってたけどダインはあんなのを1人で追いかけてるの?」
疲れからか座り込んだなまえは以前、500モラと3つの質問を対価に依頼を受けてくれた謎の男ダインスレイヴのことを思い出した。なんだかよくわからない人物であったが悪い人ではないとなまえは思っていた。
「ダインについては分からないことの方が多いしなあ……。それにしてもアイツ、すごく強かったぞ。アビス教団にもあんな強いヤツがいたんだな」
なまえとパイモンの2人が話しているのを横目に空はひとりアビスの使徒がこぼした言葉を思い出している。
「(あれは……俺たちのことを……知っているみたい)」
そんなふうに感じたが情報が少なすぎて答えは出そうにない。なまえは気付いてないのかわからないが口には出さないということは今言うべきことではないかもしれない。
「ん? 空どうかしたのか?」
「……なんでもない。アビスの使徒がいつまた帰ってくるかもわからない。早くここを出よう」
空は座るなまえに手を伸ばした。そのまま掴んで立ち上がらせる。先程少し寝たとはいえ戦闘で疲れていると思った空はそのままなまえの手をしっかりと握りしめた。パイモンがなまえの横について3人は秘境の外へと向かう。秘境から出た3人は明るい外の雰囲気で、気持ちもようやく落ち着いた。