隔たりのある魂
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それからしばらくしてなまえが落ち着いたのを見てふたりは離れて立ち上がった。そして空たちはもう一度蛍に言われたことを思い返してまとめることにした。カーンルイアとダインスレイヴの関係。アビス教団の正体。そして蛍の言葉。結局わからないことだらけで、ダインスレイヴやアビスの使徒、そして蛍の言葉をただ思い出すように繰り返しただけでそれぞれの言葉の意味の答えを見出せるほどの情報がない。
つまり、この七国を巡る旅の目的にダインスレイヴに会うことが追加されたのみ。それでも蛍に再会できたことも含めて今日得た情報はとても貴重なものだ。新たな目的であるダインスレイヴに会ってもう一度話をきく。蛍とどこで知り合ったのか。
「わからないことを考えてもどうしようもない。とにかく、ここから出よう」
空が考えを打ち切るように遺跡から出ることを切り出した。パイモンがそれに頷いている。空が歩き出して、パイモンもそれに続く。しかし、なまえは何か言いたげにして進もうとせずに逡巡していたけれど、離れていく二人の背中を見て意を決して呼び止める。
「あの、空……パイモン、」
彼女の呼びかけに遺跡から出て行こうと歩を進めていた二人が止まって後ろにいるなまえに向かって振り向いた。
「ごめんなさい! いっぱい心配かけたのに、今まで本当のことを隠してて……本当にたくさん心配かけた」
まだ目は赤いが泣き止んだなまえが頭を下げた。
なまえには心残りがあった。それが空とパイモンに散々心配をかけたのにそのことについて謝っていなかったということだ。あの時は言わずに誤魔化すのが一番心配をかけないとなまえは本気でそう思っていた。けれども蛍はなまえと空の前に現れて、なまえは激しく動揺した。もちろん空もそうだったとは思うが、なまえは自分を保つのに精いっぱいで空を気にする余裕なんてなかった。
あの中でひとり蛍と面識のなかったパイモンはずっとなまえ達を心配してなまえに寄り添っていてくれた。そんな彼らを結果的に騙すような形になったことがなまえの心にひっかかりを残していた。ふたりはきっと気にしないだろう。けれども、なまえがちゃんとあの夢と向き合って、蛍と再び会う時にしっかりと顔をあげるためにも、このひっかかりは解消しなければならない。
「大丈だよ、なまえ。俺は怒ってないし、蛍は生きているってわかったんだ。だから旅を続けよう」
「……空」
頭を下げたなまえに空は近づいて頭をあげるように声をかける。顔をあげた彼女に彼はなんてことないように笑いかける。でもその後少しだけ困ったような顔をしてなまえに話しかける。
「でも、もっと早く話してほしかったな」
「……ごめん。今度からはちゃんと話す。パイモンも心配してくれたのにごめんね」
「気にしないでくれ。オイラはなまえが元気になってくれればそれでいいんだ」
「ありがとう……」
空とパイモンの優しい言葉をかみしめてなまえはようやく小さく笑った。それに気づいてパイモンは嬉しそうに頷く。
「よし! なまえも元気になったことだし、早くここから出て日の当たるところに行こうぜ!」
「そうだね。……あ、逆さの神像はどうしよう」
「ダインは『破壊』するって言っていたけど」
遺跡から立ち去ることを提案した(パイモンになまえは頷く。だが、視界に逆さの神像が入ってきてその存在を思い出した。蛍との再会でそれどころではなくなってしまったが、もともとこの遺跡に戻ってきたのは目の前の逆さの神像を破壊するためだった。3人の視線は逆さの神像に向かう。
「そもそも『破壊』って私たちが思う『破壊』でいいのかな?」
「言われてみればそうだな。ダインは『破壊』するとは言ったけどその方法については聞いてなかったよな」
「そうだね。何も知らない俺たちが『破壊』するのはやめておいた方がいいのかも」
3人で並んで逆さ神像を見上げながら相談をする。一言で破壊といってもその方法は様々だ。武器などの物理攻撃で破壊する方法。元素での破壊。元素反応での破壊なんてさらに何種類かの方法があげられる。
「下手に『破壊』してあの神像の手の中のエネルギーが暴走するようなことになったら大変だよ」
「たしかにそうだよな。けど、このまま放っておくのも……」
うーんと悩むなまえとパイモンだが、答えは出ない難しい問題だ。うんうん悩む二人を見かねて空が声をかける。
「ダインはアビスの計画に必要なものがこの『逆さの神像』と『最古の耕運機の目』だって言ってたよね?」
「うん。その神像の手に『目』をはめるって話だった」
アビス教団の狙いはこの逆さの神像に「最古の耕運機の目」を持たせることである。空が確認するようになまえとパイモンを見る。空の言葉になまえが頷いて答えた。
「俺たちがあの『目』を手に入れたことはアビス教団は知らない。だから、アビス教団はまだ探してるはず」
「アビス教団にはそのままもう取り出された『最古の耕運機の目』を探させるってこと?」
「……つまり、時間を稼ぐってことか?」
「そうなるね。そもそもあの『耕運機の目』はダインが持っているから、俺たちはダインが保管するって言った言葉を信じるしかない」
「結局オイラたちにできることは何もないってことか……」
適切な方法でなければ何か起こるかもしれない。起こった時の対処法がわからない以上、放置するという以外どうすることもできないのがもどかしい。
「仕方ない。これ以上オイラたちにできることはないみたいだし、……気を取り直してオイラたちもここを出よう!」
「うん。ダインが耕運機の目を離さないで保管してくれていることを信じて私たちは先に進もう」
どうすることもできずに逆さの神像は触らないでそのままにしておくしかない。後ろ髪をひかれる思いがないわけではない。けれども、なまえ達には目的がある。この遺跡からは立ち去らなければならない。戻ってくるとは思えない蛍をここで待っていても仕方がない。
「よし! それじゃあ、今度こそこんな嫌な場所から出て、日差しの差す明るい地上へ戻ろうぜ!」
だから、なまえ達はこの遺跡を出る。なまえが、空が、そして蛍が願う、いつかの再会を叶えるために。彼女に会うために、なまえ達は七国をまわる旅を続けていく。
あとがき