隔たりのある魂
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結局、この遺跡に戻ってくることになった。外からはあのような恐ろしい光景など想像できないようなのどかな風景。
「まさか、またここに戻ってくるなんて。やっとの事で逃げ出したのにまた自分から入るのか……」
「……パイモン。こわいけど、あの神像をあのままにしておけないよ」
「なまえ……。そうだな。オイラたちみたいな勇敢な冒険者は、テイワット大陸でも希少だと思うぞ」
この遺跡内で経験したことは簡単に忘れられるようなものではない。思い出すと気が重くなるのは仕方ないことだ。けれどそうも言っていられない。アビス教団の計画を知ってしまったのだから。
「よし! じゃあ出発しよう! 警戒は解くなよ!」
気合を入れていつもの調子に戻ったパイモンを見て、空が先導するように歩きはじめた。
――
「どうやら到着したようだな」
鎖によって吊るされ、逆さにされた神像はこの空間の異様さを表しているかのようだ。神像の手中には禍々しいエネルギーが滞留しているのが目視で確認できる。この部屋に入るのは二度目だからだろうか、前よりもちゃんと内部に何があるのか確認できた。
ここに再訪問するまでの間になまえは随分気分が落ち着いた。そのおかげか前みたいに体調を崩すことはなさそうだ。けれども、やはりこの場所の不気味さによって生じる不快感は良いものだとは決して言えない。
「怪異、衰退……実に不快な部屋だ。貴様らの言う不気味の意味が理解できた」
ダインスレイヴが納得したように頷く。すると、なまえの背中に隠れるようにひっついていたパイモンが少しだけ顔をのぞかせた。だがその体は小さく震えていて、恐怖心は拭い切れないようだ。
「うぅ……やっぱり怖い……」
そう言いながらまたなまえの背中に隠れた。
「パイモン。皆いるから大丈夫だよ」
「うぅ……」
怯えるパイモンをなだめるように空が声をかけるけれど、パイモンが顔を上げることはない。なまえにくっついたままで、震えは止まっていない。まだこわいようだ。そんなパイモンを見てダインスレイヴも注意を促す。
「気をつけろ、『穢れた逆さ神像』に気圧されるな――『アビスの使徒』もここにいる」
ダインスレイヴはその鋭い眼光でなまえ達の後ろを睨みつけた。
「フフフ……やはり勘が鋭い」
ダインスレイヴの言葉になまえ達が後ろを振り返る。するといつの間にかそこにアビスの使徒が立っていた。なまえ達がパイモンを慰めている間に、以前なまえ達から逃げた時のような方法で現れたのだろう。
パイモンがこれからはじまるであろう戦いの邪魔にならないようになまえから少しだけ離れてアビスの使徒との距離を取る。そんなパイモンに空が「なまえのサポートをして」と声をかけた。なまえは元気になったと笑っていたがやはり心配だった。なまえと空が身構える中、アビスの使徒はダインスレイヴに話しかけている。
「相変わらずしつこいな、教団の敵、ダインスレイヴよ!」
初めてこの遺跡でアビスの使徒と出会った時もダインスレイヴのことをそんな風に言っていた。やはりダインスレイヴとは何度か邂逅しているようだ。彼らの舌戦の内容は気になったが、ダインスレイヴにそれを聞くよりも先にアビスの使徒を退けなければならない。逆さの神像を破壊するという目的を遂げるためにここまで戻ってきた。なまえ達にはわからないような言葉の応酬を経て、三度アビスの使徒との戦闘がはじまった。
アビスの使徒の技は水による攻撃である。水流で作られた波のような斬撃を飛ばしたりして攻撃してくる。なまえ達よりもずっと長身だから振り下ろすだけでも力強く感じるのに斬撃も速い。そのせいで衝撃も恐ろしいほど力強い。今まで相手にしてきたアビス教団の者よりもずっと手強い。一度攻撃に捕まってしまえば避けるよりも受け止めて流すのがやっとである。それでもどこかに隙はある。これまで二度戦ったが、二度とも異空間を作られて逃げられた。逃げ道があるという余裕のためか所々で攻撃が大振りになっているように感じる。その余裕が隙になることをなまえも空も理解している。
そして、攻撃の瞬間に水で作った刃を長く伸ばすことが多く、よく見れば攻撃の瞬間がわかる。そのふたつの隙をついていけば攻略できるはず。そうやって少しずつ攻撃を繰り返しているとアビスの使徒が少し距離をとった。不思議に思って追いかけずになまえは構えたまま息を整えた。
「なまえ! 魔術師だ!」
「!」
そばにいたパイモンの言葉になまえは振り返る。アビスの使徒は2体のアビスの魔術師も連れてきていたのだ。炎と水のアビスの魔術師。バリアで身を守る厄介な敵。魔術師というだけあり遠距離の攻撃を放つこともその厄介さに拍車がかかる。それぞれ水と氷で蒸発と凍結の元素反応でバリアを壊すのが1番いい手ではある。
だが生憎なことになまえも空も魔術師のバリアに対して最も有効な属性を使うことができない。七天神像から力を得たのは風と岩の二つの元素のみだからだ。最も有効な元素とは言えないがこの2つの元素でもバリアを破壊することは可能である。
「なまえっ!」
「……っ!」
なまえがアビスの魔術師に気を取られたことでアビスの使徒に対して隙ができた。その隙を見逃すほどアビスの使徒は甘くない。なまえに目をつけたのはアビスの使徒で、空がなまえを狙った攻撃から彼女を守ってその攻撃を受け止めた。
「くっ……」
「空!」
「なまえは魔術師の方を……っ!」
「……っ、……わかった」
攻撃を受け止めて切り返した空はアビスの使徒を睨みつけたままなまえに指示を出す。数的不利がなくなって、アビスの使徒の攻撃にさらに余裕が感じられる。両手にそれぞれ剣を持つ者の体捌きと片手剣を扱う空とは異なるものだ。
アビスの使徒の武器は両手剣というよりその手甲からなんらかの力で水の元素を刃に変えているようだ。とにかく両手に武器を装備するのはアビスの使徒が如何に優れた力を持っていると共に、連続攻撃に注意しなければいけないということになる。空は気を引き締めなおしてしっかりと剣を握りなおした。