誇りのない試練
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奔狼領は北風の狼ボレアスの領域である。ダインスレイヴ曰く老いぼれ狼。風神の下についた四風守護のひとつであるがボレアスの本領は狼達の守護者である。だから奔狼領はその名の通り、狼の生息域である。そんな奔狼領についた一行は早速、アビス教団の魔物を見つけ協力して退治した。今度はなまえもそれなりに戦うことができた。
「ふぅ――結構多かったな!」
アビス教団の数が明らかに多くなってきた。これもアビス教団の狙いに近づいていることなのかもしれない。パイモンがため息を吐いて息を整えていると、周囲に敵のいないことを確認した3人がパイモンの傍に集まった。
「近づけば近づくほど、敵の数が増えるか。ふん、実に教団らしい」
「アビス教団の狙いはボレアスなんだよね? もしかしたらもうアビス教団がいるのかもしれない……」
「そうだね。早く王狼を見つけないと」
ダインスレイヴの言葉になまえが続ける。それを聞いて空も気持ちを引き締めた。そんな彼らにパイモンが先に行こうと促すと、ダインスレイヴはここで待つと1人立ち止まった。
「俺は……ここにいよう」
「えっ? どうしてだ? モフモフした生き物が怖いのか?」
ダインスレイヴの言葉を受けて発したパイモンの一言になまえは何とも言えない気持ちになった。ただでさえダインスレイヴが怖がる姿が想像できないというのに、パイモンが狼をモフモフした生き物と表現したせいでなんだか小型生物を怖がるダインスレイヴの図が思い浮かんできそうだ。聞いているなまえの方がなんだか恐ろしくなってくる。
「理由はそれじゃないと思う」
なぜか顔を歪ませたなまえの様子を不思議そうに思いながらも空が極めて冷静にパイモンの言葉を否定した。空の発言にダインスレイヴがその理由を話す。
「『狼』とは関係ない。かつての魔神が、七神に仕えてるのが気に食わないだけだ」
空の考えは正しかったようだ。魔神アンドリアス。それが北風の狼が魔神であった頃の名だ。魔神が風神の傘下に降ったというのがダインスレイヴには気に障るらしい。彼の神に対する感情は相当根深いものであるようだ。七神が嫌いなのかと空が口にすると、否定することはなかった。そして、個人的な意見だと前置きしたうえで3人に向かってアドバイスのようなことを話してくれた。
それは神に対して、いつどんな時でも警戒を怠らない。信じ切らない。そして「簒奪」や「凶行」の道にも堕ちるなと。それがたとえあの神に対してもそうであれと。神を信じないことと神に対しての攻撃ともいえる簒奪や凶行。それらは相反するものである。そのことを素直なパイモンが口に出すとダインスレイヴは過去の教訓だといった。それが何なのかは教えるつもりはないようだ。
「最後に……事実を一つ教えてやろう。『カーンルイアは神によって滅ぼされた国、そしてそれが……アビス教団が七神の国を滅ぼしたいと思っている理由だ』」
ダインスレイヴはそれだけを言うと話を打ち切った。集合場所を決めたら彼は一人その場から立ち去ってゆく。
「あ……行っちゃったぞ」
引き留める間もなく姿を消したダインスレイヴにパイモンは伸ばした手を静かにおろした。
「本当におかしな人だな」
「少し……理解できるかも」
いなくなったダインスレイヴについて空とパイモンが話している間になまえはひとりダインスレイヴの言葉を考えていた。彼の言葉をそのまま信じるならば、カーンルイアとアビス教団は何らかの関りがある。それもただの関係ではない。カーンルイアを滅ぼされたことに対する報復をしたいと思うほどの行動をおこせる強いものである。
「(アビス教団にとって、カーンルイアという国はどういうものだったのだろう……?)」
カーンルイアがアビス教団にとってとても大切なものだったというのなら、それならばアビス教団はカーンルイアの……。
「栄誉騎士たちにパイモン! どうしてここに?」
後ろから声をかけられてなまえは、はじめてその存在に気が付いた。周囲のアビス教団は倒したつもりであったがここは今や敵地のようなものである。いくらなんでも考え事に集中しすぎである。なまえはそう反省しながら声の聞こえた方向に体を向けた。