信者のない使徒
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「その事件については俺も知っている。アビス教団が『龍災』でやったこともな。結果を見れば、貴様たちはすでにアビス教団の計画を一度廃止したことになる」
「この前は『神の眷属』で、今回は『古の魔神』か……うーん、標的がどんどん大きくなってるぞ……。『アビス』は今回も、トワリンの時みたいに騙したり魔術を使ったりして、オセルを腐食させようとしているのか?」
「いや……この『メッセージ』によれば、今回の計画はさらに進んだものだ。精神の改造に限らず――『耕運機』を製造する技術により、オセルの肉体を改造しようとしている」
「肉体の改造……?」
パイモンの言う通り標的がどんどん大きくなっている。さらにその手段もだんだんと手酷くなっているような気がしてなまえは背筋にうすら寒いものを感じた。このままいけば、アビス教団は目的を遂げるためならなりふり構わなくなるのかもしれない。そんな怖さがあった。
「そ……そんなことできるのか? まさか……アビス教団のヤツら……『究極殺人兵器・機械魔神烏賊』を作ろうとしているのか!?」
「たぶんそうみたい」
「(……烏賊?)」
真面目に言っているのだろうが、パイモンの言葉に少し気が抜けた。なまえが感じていた恐怖も少し薄れたような気がした。それにしてもパイモンはオセルのことを烏賊だと思っていたのだろうか。
「……今となっては、カーンルイアの文明を知る者は少ない。それがどの程度のものか判断するのは難しいだろう。だが、アビス教団がカーンルイアの失われた文明を追い求め――その意志と執念だけで動いていることは確かだ」
ダインスレイヴはオセルの体を機械魔神に改造するためにあの「穢れた逆さ神像」を利用するらしいとメッセージの内容を伝えてくれた。
「そして『最古の耕運機の目』は……神像の手のひらにあるエネルギーの『新たなコア』となるようだ」
「最古の耕運機の目? ……あっ! オイラ分かったぞ! アビスの魔術師がずっと探していたのは、それだな?」
閃いたパイモンの答えにダインスレイヴは頷いた。最古の、というのだからきっとそれは特別なものだ。今まで「耕運機」をアビスの魔術師が執拗に探っていた理由はこれで分かった。
「アビスの魔術師たちはまだ探しているんだよね」
「うん。だからまだ見つかってない。だったら時間はある」
最古の耕運機の目。それをこちらが先に見つければこの計画を止めることができる。魔神を改造するなどという、恐ろしくそして悍しい計画はなんとしても止めなければならない。
「話がどんどん複雑になってきたな。でもやっぱり……あの不気味な七天神像と関係があったってことだな?」
「ああ。メッセージによれば、その『目』を『穢れた逆さ神像』の手のひらに置けば……『天空の島にある神座を揺るがす』力を、新たに誕生した魔神に与えることができる」
「(神座を揺るがす……)」
「(天空の島ってもしかして前にウェンティが言ってたところだよね……)」
空はダインスレイヴの言葉を心の中で咀嚼した。神座。つまり神に対して何らかの行動を起こそうということだとは理解できた。なまえも天空の島について考えたが口に出すことはなかった。それは以前ウェンティが神しか知らない秘密を話してくれた時に出てきた場所だった。神の魔力器官のつながる地。そこに干渉できる力とは一体どれほどの力なのだろうか。最古の耕運機とはそれだけの技術と力が込められているのだろう。だからこそアビスの魔術師たちは必死になってそれを探している。
「……この計画……スケールが大きすぎてわけがわからないぞ」
「アビスの魔術師よりも先に『最古の耕運機』を見つけないといけないけど手掛かりがないよね」
頭を抱えるパイモンになまえが話すが、『最古の耕運機』は所在どころかその手がかりさえも全くない。
「でも、『最古の耕運機』がどこにあるのか誰も分からないんだよな? だったら……まず『神像』から調査してみるのはどうだ?」
「あれは風神像だったね。西風教会で聞いてみる?」
「ああ。吟遊野郎はいつも場所を転々としてるから、西風教会に聞いたほうが早いだろうな。なにか分かるかもしれない」
パイモンに空が次の目標について話し出す。手がかりのないものを探すことはできない。どうしようもないのでもうひとつの謎、あの逆さ吊りの神像についての調査をすることにした。あの神像は風神を象ったものだった。
「大聖堂か……ふん」
「ダイン、どうかしたのか?」
パイモンと空のやりとりを静かに見ていたなまえはダインスレイヴが吐き捨てるように言った言葉が耳に入った。けれどそれはパイモンには聞こえなかったようだ。
「気にするな。先を急ごう」
聞き返すパイモンにそう返したダインスレイヴはまた歩を進めた。次の目的地はモンドの西風教会だ。