わたしが望まぬことだから
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「そうだ。出発の前に一応現在地と目的地の確認しておこう」
そう言ってなまえが開いたのはモンドの地図だった。長年使用されているのか所々汚れている。なまえがいろいろ書きこんでいるようだが、なにやら記号のようなものでどういった意味を持つのか空にはわからなかった。
「ん? これ、何が書いてあるんだ??」
「あ、ごめん。ずっとひとりで旅をしていたから気分転換にいろいろ自分なりの暗号とか考えちゃったんだ……」
どうやらそれはパイモンも同じだったらしい。つまりテイワットの文字ではないようだ。謎の記号について聞かれてなまえはとても恥ずかしそうにそう答えていた。そんななまえの姿にあまり突っ込まない方がよさそうだと空は思った。
「じゃあ、俺たちが今いるのはどこになるの?」
「えーっと……ここだな。この星落としの湖ってところだ」
話を変えるために空は現在地について尋ねた。なまえのひらいた地図には湖らしき箇所はいくつかあった。パイモンが指したのは海辺に近い湖だった。
「そ、それで……私たちがこれから向かう自由の都モンドはここ」
未だ少しだけ顔を赤くしたなまえが目的地であるモンド城を指し示す。地図の中では一番大きい湖のなかにモンド城はあるらしい。星落としの湖から道が伸びていてその先のようだと空が思っているとなまえの手が先ほどパイモンが指していた星落としの湖に移る。
「星落としの湖を超えて、囁きの森に入って……森を抜けたら後は道なりに進めば良かったんだよね?」
「おう、オイラの記憶もこの地図にもそう書いてあるし、道なりに進めばよかったはずだぞ」
「俺にはわからないから道順はふたりに任せるよ」
なまえが地図上の地名を読み上げながら道順を撫でていく。彼女のルート設定にパイモンも異存はないようで頷きながらその指の動きを見ていた。空はモンドどころかテイワットには詳しくないのでふたりに任せることにした。
「よしっ! じゃあ進もう!!」
パイモンのはりきった掛け声に促されなまえ達はようやく七天神像のある湖を後にした。星落としの湖を後にして道なりに歩いていると、崖のような場所に着いた。繋がっているはずの道が途切れており、崖を覗き込むとそのまま道は続いている。
「なんだ? 道が崩れたのか?」
「うーん、雨で崩れたのかな? 道から外れるけど、飛び降りるより安全な道を行こうか。出発早々怪我は嫌だからね」
道が途切れていることを理由になまえ達は道のないほうへ行くことにした。進んでいると先ほどの道がいつの間にか川と合流しており、そこに水スライムが跳ねていた。戦うべきかと空が考えていると、なまえが彼の考えを汲み取ったのか一つの提案をする。
「さっき風元素を得たばかりで戦って疲れたでしょ? とりあえずモンドに着くまでは戦闘は極力避けていこう?」
「そうだね、それがいいかもしれない」
「あっ、あっちにヒルチャールがいるぞ! 気をつけろよ」
「ヒルチャール?」
持っていなかった力を得ることは疲れることだと判断したなまえは空に提案した。なまえの提案に頷くと、それを聞いていたパイモンが逆方向をみて声をあげた。はじめて聞く単語に空が首を傾げるとパイモンがヒルチャールについて好戦的なやつらだからと返事をした。
「見つからないように行けば大丈夫だよ」
そうなまえが返事を返した時だった。大きな音と共に頭上に影が差した。突然曇るはずがないと3人が揃って上を見上げる。すると巨大な飛行物体が彼らの遥か頭上を飛んで行ったのが見えた。
「えっ!?」
「うわっ!? なんだあれ?」
「龍……?」
なまえ、パイモン、空と三者三様に驚きと戸惑いの声があがる。巨大な飛行物体は特徴的な綺麗な翼を持っていて、空が呟いたようにそれは龍であった。3人の遥か上空を飛んでいたのにも関わらずその余波は地上にいた3人にその存在感を示すようかのように風が吹いた。
「森の奥に行ったみたいだ」
微風だったおかげで飛ばされずに済んだパイモンが目を凝らして森の方角を見つめる。森とは囁きの森。先程確認した進むはずのルートであった。
「私たちが進む方角と同じ……」
「気をつけて進もう」
パイモンの言葉に少し強張ったような声色でなまえが呟いた。そんな彼女の様子に怯えているのかと空は思って励ますようになまえに声をかけた。