涙のない明日のために
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瓦礫の中に人影を見つけて声をかけると彼だった。私よりも年上で、私を引き上げてくれた人のうちのひとり。彼は私の友達になった。
生きる事を決めたら友達が増えるなんて不思議。
「これからどうするんだ?」
そう彼が聞くから私は素直に旅に出るつもりだと答えた。あの子と一緒に旅に出てこの世界を見て周りたいと私は言った。そんな私の答えに彼は気をつけろと言った。
「あなたはどうするの?」
そう言うと、彼は何も言わずに小さく笑って頭を撫でてくれた。それが小さい子にされるような気がして私は少しだけ不満だった。私は未熟者だけど、それほど小さいわけではなかったから。
そんな不満が読み取れたのか彼は「皆が素直だったら良かったのにな」と私を見てため息をついた。その言葉に私はあの可哀想で孤独な背中を思い浮かべた。もし、彼が自分の思いを正しく伝えていればもっとうまく歩み寄れていたのかな。
でもそれはどう足掻いても不可能なことだ。彼は可哀想なほど真っ直ぐで、自分のすることは正しいと信じきっていたから。そんな彼が哀れだと思う資格が私にあるはずもないのに。そんな時、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。
――あの子だ
彼のことも呼んでいた。あの子の方へと行こうとした時、彼が私の名を呼んだ。
「外には何があるかわからない。気をつけろ。……それから、」
彼は少し心配そうだった。瓦礫の向こうに空が見えた。夕焼けだった。
「もし世界をまわって、いつか……」
私はその夕日のせいで、彼の燃えるような赤い髪が本当に燃えているように見えた。それはこの瓦礫の中だったからこそ余計にそう思えたのかもしれない。