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「やっぱり君でもダメだったか……」
どうやら断られることは想定内だったウェンティは特に怒る様子もなく空達を出迎えた。それから詩人らしく空を勇者に、ライアーを宝剣に例えてモンドに失望したと話すウェンティだったがちゃんと次なる作戦を考えていたようで、例え話もそこそこに終わらせて話題を変えた。
「さて、ちゃんとした方法で借りるのは無理みたいだから、別の手を使うしかないね」
「別の手?」
他にも方法があるのかとなまえが問うとウェンティは頷いた。そして、空に尋ねるように彼を見る。
「自由意思を尊重して、君の意見を聞こう。どう盗ればいいと思う?」
「と……!?」
「……」
盗むとウェンティが言うとなまえが絶句した。驚くなまえをよそにウェンティは空にどういうふうに盗むべきかと意見を迫る。盗みなど人の道に外れていると理解している空は盗みはしたくないと言うけれど、ウェンティは自分よりも空の方が向いていると話し出した。
「だってボクは歌うこと以外、長所といえる長所はないからね」
そう話すウェンティをなまえは何とも言えない顔で見ていた。
「それにボクは一人ぼっち、捕まったら冤罪を晴らしてくれる人もいない。きっと重罪に問われる」
通常盗みはそれほどの重罪ではないが今回の狙いはモンドの至宝と呼ばれるものである。そんなものを盗んで捕まれば牢屋に放り込まれすぐに釈放とはいかないだろう。
「泥棒して捕まったなら、別に冤罪じゃないだろ」
パイモンの的確なツッコミが冴え渡るなかウェンティはそれをあっさりと無視した。そしてモンドに貢献した騎士団の未来のスターならどうにかなると思うという独自の理論を展開して至宝を盗むという大仕事を空に押しつけた。たとえ、未来のスターだとしても泥棒は泥棒である。そう話すがウェンティは夜に守衛は帰ると言って、聞き入れてくれなかった。しかも、風神だとシスターに話したことを問い詰めようとしても適当に誤魔化されてしまう始末である。
結局、上手にウェンティに天空を盗むことを了承させられてしまった空は夜まで待つことにした。そして、夜になり守衛が帰ったことを確認した空はなまえとパイモンを連れ立って教会に入ろうとした。けれど、ウェンティがなまえの手を捕まえて呼び止めた。
「あ、そうだ。なまえはボクと一緒にいようね」
「えっ!?」
「なまえもオイラたちと一緒でいいだろ!?」
腕を掴まれて驚くなまえにパイモンがウェンティに文句を言う。しかし、ウェンティは首を振る。
「だめだよ。だって、なまえは君と違って騎士団の新メンバーじゃないからね。もし、君たちがうっかりミスでもしたら騎士団じゃないなまえは捕まって重罪になっちゃうかもしれないから」
「おい! だからミスする前提で話すなよ!!」
「それに二人で忍び込むより一人で忍び込んだ方が成功確率は高いから、その方が良いと思うんだ」
ウェンティの言葉にパイモンはオイラを頭数にいれろと叫んだ。盗む作戦を口にした時からウェンティは空にしか意見を求めていなかった。はじめからなまえを盗む側にまわすつもりはなかったのだと、この時はじめて空はウェンティの思惑を理解した。だけど、なまえは気が付いていないらしい。
「空……、私も……」
「なまえ、大丈夫。ウェンティの言う通り、人数は少ない方が良いと思う。だからウェンティと待っていて」
なまえは行こうかと尋ねようとしたが空はその言葉を聞く前に答えをだした。空だってなまえを危険に晒したいわけじゃないし、自分も捕まるつもりもない。ウェンティだけではなく、空にもそう言われてなまえはウェンティと共に待つことにしたようだ。空と共に行くと言うパイモンに声をかけている。
「パイモン、空をよろしくね」
「任せろ! オイラがいれば天空のライアーを盗むなんて朝飯前だぞ!!」
なまえがパイモンに話しかける声を聞きながら、空は西風教会を見上げた。