不思議な緑のあの子
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「ボクも涙の結晶を持ってるんだ。浄化をお願いできるかな?」
そう言われて手渡されたその結晶を皆が見つめるなか、空は浄化した。赤く禍禍しい光が、神々しい水色へと変わる。浄化ができた証である。目の前で行われた現実になまえとパイモンは言葉を失った。そのあとウェンティは彼なりの言葉で空を褒めた。その時、彼の使った例えは以前ガイアが言ったような言葉と似ていたがあまり気にしないようにした。空を褒めていたウェンティだが、いつまでもそうはしていられないらしい。
「あっ……今は君のために新しい詩を書いているヒマないんだった」
浄化できないと思っていたその結晶が浄化されたことにより彼は思いのほか舞い上がっていたらしい。喜ばしい気持ちを落ち着けてから、ウェンティは自分のするべきことを声にだす。
「たとえトワリンは討伐されずとも、その生命力はすごい勢いで消耗していっている……」
怒りの中で自分を燃やし尽くそうとしていると続けられた言葉に空が手伝いを申し出たが彼は浄化してくれただけで十分だと言った。ひとりで何かをしようとしているウェンティになまえはもう黙っていられなかった。一歩前に出てウェンティへと声をかけた。
「……ウェンティ」
「……。なまえ……、ボクなら大丈夫。新しい作戦を思いついたんだ」
なまえに声をかけられたとき、ウェンティは彼女に自信ありげにウィンクをひとつしたけれど本当は心の中で謝っていた。空の助力を断って、一人でトワリンを救うために動く己をなまえが放っておけるはずがないとわかっていたからだ。ウェンティがすでに空とパイモンにトワリンといた姿を見られている以上、なまえが彼のことを知らないふりをするのはわかっていた。
なまえもウェンティも不安定な立場であるからだ。どちらかの秘密が暴露すればもう一方だって露呈しかねない。お互い守りたい気持ちは同じだった。けれど、なまえは黙ってはいられなかった。こういう所が人間の
「――えっ? いや、ちょっと待て。なまえ……知り合いなのか?」
「さっき、……暴風に飛ばされた私を助けてくれた人なの」
どこか親し気なウェンティの様子にパイモンは聞きたいことも忘れて、なまえとウェンティを交互に見た。パイモンの質問に答えたのはなまえだった。なまえはウェンティから視線を逸らすことなく、パイモンの言葉に答える。見つめあったままの二人を見て、空は直感的に理解した。この二人はただの助けられた者と助けた者の関係だけではないと。己の観察眼を恨めしいと思ったのは、はじめてのことだった。
「ええーーー! じゃあなまえはこいつとすでに会っていたのか!?」
「うん、……なんだかバタバタしてたから、……言えなくてごめんね」
なまえの言葉を受けてパイモンは皆が逆に驚くような大げさなリアクションで驚いていた。そんなパイモンの様子にようやくウェンティから視線を外したなまえはパイモンへと目を向けて眉尻を下げて申し訳なさそうに謝った。なまえの謝罪を受けて頭を抑えながらパイモンが首を振った。
「いや、別にこうして会えたら大丈夫だ。それで……えっと、」
「……新しい作戦って何?」
驚きのあまり、聞こうと思っていたことを忘れてしまったパイモンだったが、それを引き継いだのは空だった。空は少し不機嫌そうであったがパイモンがそれに気が付くことはなく、彼の手助けに感謝してそのまま言葉をつなげる。
「そう、作戦! お前が思いついた作戦ってなんだ?」
そう尋ねたのにまた彼は故人のことを思い出したと言ってはっきりとした答えを告げることはなく、はぐらかしてどこかへ歩いて行ってしまった。モンドの「英雄の象徴」に行くというヒントを残して。