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騎士団本部に行くと、先ほど案内された部屋に再び案内されてジンは空の話の詳細を聞いた。空はモンド城内へと入る前に森で拾ったあの不思議な赤い石を取り出した。ジンもどうやら見たことがないらしく、興味深そうに空の手にあるその石を眺めて、リサを呼びだす。呼びだされたリサが部屋にやってくる。ジンは早速彼女にこの石の構造分析を頼み、了承したリサがそのために赤い石を預かろうと石に触れた瞬間、痛みを覚えて手を引いた。
「結晶の中の不純物に近づくと、痛みが……」
痛そうに指をひっこめたリサはすぐさまその原因を神の目にあると予測した。不純物は何かが穢れた力であり、それが元素の力と相殺しあうらしい。しかし、不思議なことに同じように元素を使える空には何の拒絶反応も見られていない。異邦人であることがその原因なのかとも空は思ったがその理由はわからない。結局、この謎の結晶は再び空が保管することとなった。
「そうだ。君たちに無理な願いではあるが……西風騎士団の栄誉騎士の爵位と……代理団長の感謝の気持ちを受け取ってくれ」
「「「!!」」」
「西風騎士団の……栄誉騎士だって!? 二人ともすごいじゃないか!!」
ジンの言葉になまえ達は驚いた。栄誉騎士とはつまり、騎士団が三人の身元を保証するという意味でもある。待遇としては最高のものだともいえるだろう。驚く彼らをそのままにしてジンはさらに一つ言葉をつけ足した。
「それから、この謎の答えを探すのに、もう一度力を貸してほしい」
おそらくこちらが彼女の本題であろう。先に無理な願いと前置きした理由はそういうことなのかもしれない。
「風魔龍の暴走、変わった結晶……その答えはきっとモンドの平和とも関係があると思う」
風魔龍の暴走。空が一番注目しているのはこれである。もちろん、モンドの人々の安全は大切なことだ。しかし風魔龍の正体が風神の眷属であるとわかった以上、放っておいて良い話ではなくなってしまった。風魔龍の暴走を止めることもまた風神へと近づく一歩になるだろう。だから空はその謝礼代わりのその称号を受け取った。ジンは胸に手を当てて、空の答えに感謝の意を示す。
「真実にたどり着けるように、風の加護が君たちにあらんことを願っている」
何かあったらいつでも訪ねてきてほしいと言葉を添えて。話が終わり、ジンとリサに別れを告げて退室しようとした時、なまえがおずおずと声を出した。
「あ、あの……代理団長さん……」
「ん? どうしたなまえ」
ジンの名前を呼び、少し言いづらそうに眉をよせて言葉を紡ぎ始めた。
「えっと、その……、栄誉騎士の称号なんですけど、私は遠慮してもいいですか……?」
「えっ!? なまえ、栄誉騎士だぞ!? 騎士団の!! なんでだ??」
なまえが栄誉騎士を辞退したいという言葉に皆が驚いたが、なかでもパイモンが一番に驚いたように反応した。詰め寄るパイモンの疑問になまえは悩むようにしてその理由を話す。
「だってパイモン。私はト……風魔龍に対して何もできてないんだよ? 空は立派に風魔龍を撃退したけど私なんて暴風の中でかき回されていただけなのに、そんな立派な称号貰うわけにいかないよ」
空に比べて大した活躍もしてないのに称号を貰うわけにはいかないとなまえは首をふった。なまえはそういうが、ここにいる全員はなまえの実力が空に勝るとも劣らないものであることは知っていた。だからこそ、問題ないと伝えるけれどなまえは乗り気ではないらしい。
「でも、なまえちゃんはわたくしたちと一緒に地脈の流れをもとに戻してくれたじゃない」
「うん。私も三人からの報告で君の実力はすでに聞き及んでいる。だから君も栄誉騎士になるべき存在だと判断した」
「でも……、やっぱり……」
なまえの話す言葉にリサやジンはその実力を認めていると説得を試みたが、結局なまえが首を縦に振ることはなかった。そんな彼女の姿に無理強いすることもないとジンは思い、なまえの判断を尊重することにした。
「わかった。栄誉騎士は空だけにしておこう。だが、気が変わったらいつでも言ってくれ。なまえはそれだけの実力を持っていると私は信じているから」
「……すみません。ありがとうございます」
なまえはせっかくの好意である称号を断ったのに、優しく対応してくれたジンに感謝した。そのため、空一人が栄誉騎士の称号を得ることとなった。