遠国からの使者
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モンド城へと戻るとその上空には晴天が広がっていた。先程神殿へ向かう前に見た人々の顔は曇っていたが、今は安心した顔つきになっているのが見えた。西風騎士団の本部へと向かう途中、代理団長のジンが誰かと話しているのを見かけて立ち止まる。
「うん? あれはジン団長だよな?」
「本当だ」
「誰かと話してるみたいだ……話が終わったら神殿を攻略したんだし、報告がてら挨拶しとくか?」
ジンは建物の前で見たことのない女性と話していた。遠目からでもその雰囲気は明るいものではない。そんな緊張をはらんだ雰囲気に声をかけることもできずに三人は少し離れたところで話が終わるのを待つことにした。
「俺、気になっていたんだけど相手の人……あれは仮面だよね?」
「あ、本当だな」
ジンと会話している女性は目元を仮面で隠していた。どうみても怪しいのにその対応を代理団長がしているなんてただ事ではないのは確かだ。そう思って口にすると、なまえがその答えを教えてくれた。
「あれ? パイモンも知らない? あの人はたぶん『ファデュイ』だよ」
「ファデュイだって!?」
「パイモン! 声大きい……!!」
ファデュイと聞いても空にはピンと来なかった。しかし、パイモンは違うようで思わず声をあげた。その声に会話の邪魔をしてしまったのではないかとなまえはパイモンの口を慌ててふさぐ。それからジン達を確認したが気付いている様子はないようで、相手のファデュイもまた同じくそのような素振りは見せなかった。そのことにほっと息を吐いて、なまえはパイモンから手を離した。それはモンド城内がざわついていたおかげだった。風魔龍の脅威が去ったおかげで人々の気が緩み、元の雰囲気に戻りつつあったからだ。
「うっ……ごめん、なまえ。オイラ……」
「ううん、私の方こそ抑えてごめんね。今見つかったらきっと、ややこしいことになりそうだったから……」
小さな声で謝りあっている間にジン達の会話は終わったようだ。ファデュイの女性が目の前の建物に入ったことをしっかりと見届けてから三人はジンに近づいた。
「ああ、君たちか。おかえり」
ジンは三人の姿を認めて、穏やかな声で協力への感謝を伝えてくれた。そして、モンド城の風魔龍の襲撃による余波も落ち着いたとも。しかし、新たな問題が発生したらしい。それが今のファデュイだという。ファデュイは氷神の治める冬の国スネージナヤの外交使節の通称である。彼らは外交手段として武力行使も辞さない集団であり、あまり評判のよろしくない使節団である。西風騎士団の後手に回った対応に風魔龍を殺すべきではないかと口を出してきたらしい。
「風魔龍を殺すことが正しいと、私は思わない」
ジンはそう話して、ファデュイの目的が、風魔龍を殺して風神の眷属の力を得ることだと話した。その話になまえが食いついて、ジンに尋ねた。
「眷属の力を?」
「ああ、彼らと話している感じではどうやらそのようだ」
「……どうして、ファデュイが眷属の力を……」
「それは私にもわからない。だが眷属の力を奪うことが本当に彼らの目的ならなおさらだ。そう簡単に風魔龍を殺させるわけにはいかない」
「……」
「……力といえば」
ジンの言葉になまえは考え込んでしまった。考え込んでしまったなまえから注意を逸らすように空はジンに声をかけた。
「俺たち騎士団のみんなに見せたいものがある」
その言葉にジンも興味を抱いたようで、騎士団本部に戻ることとなった。