神様が見つめた人々
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「――来たか」
アンバーの言う通り、次に向かった神殿の前にはガイアが腕を組んで三人を待っていた。ガイアもやはり、神殿内での異変について話す。
「ははっ、中はきっと賑やかなことになっているだろうな」
「たしかに。先に行った神殿もヒルチャール達の巣窟になっていた」
「そうだろうな。だが、危なくはない。……『北風の狼』の神殿が、こんな風になるなんて実に残念だ」
空の言葉にガイアは頷いて、神殿の内部に入ろうと誘う。四風守護の神殿について見解を示すガイアに空はなまえを見た。先程のなまえの様子から何か反応を示すかと思ったが、なまえは俯いていて空にはよくわからなかった。
「『四風守護』は祀られなくなったが、古の風が消えることはない……『四風守護』の周りを掃除してやろうか」
けれどガイアがその言葉に、なまえが弾かれたように顔をあげてガイアを見つめた。
「……、」
ガイアの言葉になまえが何かを話そうと口を開きかけたけど、結局彼女は何も言うことはなくまた下を向いた。それを空も、ガイアも気づいていたけれど二人は問いただすことをしなかった。
「……さて、色々あったが初めての共同作戦だ。よろしく頼むぜ、二人とも」
ガイアの言葉に頷いて、神殿へと足を踏み入れた。
「さてと、さっそくだが俺が騎士団の戦い方を見せてやるぜ」
そう言ったガイアは戦闘中三人に騎士団の戦い方だという剣術を見せた。そして神殿に巣くうヒルチャール達をなまえと空と力を合わせて倒しながら進む。ガイアの神の目は氷元素らしく、水の多い神殿内で彼はその力を使って床を凍らせて移動していく。そのおかげで寒いが、濡れることはなかった。その様子を空は感心したように見つめてぽつりとつぶやいた。
「こういう使い方もあるんだ」
「うん。いろいろな元素反応を覚えたら選択の幅も広がるから、ガイアさんの戦い方も参考になるね」
戦闘の気配が消えて、弓をしまったなまえが空のつぶやきを拾い上げてそれに答えた。なまえ達の話を聞きながら前で案内役のように先に進んでいたガイアも話に入ってくる。
「氷元素は戦闘以外でも結構使いどころがあるんだぜ。……そういえば、旅人。先程の戦闘で風元素を操っていたが……お前は『神の目』を持っていない、そうだろ?」
ガイアの確認するような言葉に空は素直に頷いて答えた。そして、空の隣にいたなまえを見て言葉を続けた。
「そっちのお嬢ちゃんは逆に神の目を持っているのに使わないようだが……まさかお前の神の目はそのお嬢ちゃんのものだっていうわけはないだろう?――お前はどうやって元素の力を使ってる?」
ガイアは立ち止まって空に尋ねた。なぜ元素を使えるのか。それは空にもわからない。彼がこの世界に属していないという理由があるかもしれないが定かではない。それを別に隠すべきこともないと思っているので空はそのまま素直に答えた。
「俺にもわからない」
「……たしか、七天神像に触れたときに使えるようになったんだよね」
「そうだったな。うん、たしかに不思議な現象だよな」
ガイアが探るように尋ねた言葉だったが、わからないという空を筆頭になまえもパイモンも素直に経緯を話しながら首を傾げた。ガイアにとっては気になることではあったが、どうやらこの三人の中では特に重要視することではないらしい。よくわからないけど使えるぐらいの考えのようで呑気な三人の返答に彼らを疑うのも少し疲れてくる。
「(神の目もなしに元素を使える理由はともかく、この二人はなかなかやるようだから注意はしておいた方が良さそうなのはたしかだな。だが……)」
しかし、二人の実力は本物だ。一緒に戦ってみてすぐにわかった。風魔龍を撃退したという旅人の力はもちろん、ガイアとしては旅人よりも要注意人物としているなまえも想像以上の力を持っているらしい。しかも彼女においては神の目を所持していながらも元素力を使っていない。だから本来の実力は未知数だ。神の目を扱えるということはそれだけで警戒の対象になり得る。それなのにこの少女は元素を扱えることを神の目を見せることで外部に示しながらもその力を見せようとしない。当然、元素を扱えるものが戦況に介入するだけで戦力は大きく変わるのだ。
そんな少女を含めた三人に気を張っておかなければいけないはずなのに、彼らと話を聞いていると呑気な会話が多すぎて気が抜ける。ガイア一人だと本性が見えるかとも思ったが、どうにもうまくいかない。はじめて会った時にいた言葉……彼らは客人か、はたまた嵐か。まだその判断はついていない。