風を捕まえる異邦人
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空がそう決めたなら私も手伝うとそう言ってなまえも騎士団への助力を約束した。そして、これから風魔龍に対してどうするか作戦をたてることにした。
「じゃあ、作戦を練るとするか」
「風魔龍がモンドに攻めてきたことで、逆に災いを終結させるきっかけを与えてくれた」
「……」
ガイアの提案に頷いたジンの言葉に空はじっとジンの様子を伺うように見たが何も言わなかった。それは異邦人である空が言うべきことではなかったからだ。
「それとリサの魔法で探査したところ、モンドを包む暴風の源が分かったんだ」
「ほぅ? どこなんだ……?」
ジンの調査結果を尋ねるガイアの言葉を耳に入れながらなまえは窓の外をちらりと見た。まだ天気は悪く、風も強い。それが自然なものではないことはここにいる皆が知っている。
「(……この人たちにトワリンを殺させちゃいけない)」
西風騎士団がどんな判断を下そうともなまえはトワリンを助ける決意を心に刻んだ。そのためには騎士団の動きを知ることも重要だ。幸い、空のおかげで代理団長から直接手伝いを依頼された。騎士団の動きを見極めるには絶好の地位を得ることができた。
代理団長のジンという女性はどうも風魔龍を殺すのに懐疑的らしい。そんな彼女の迷いのおかげで騎士団の対応が遅れているとなまえは判断した。騎士団の動きが緩慢なのはモンドの人々にとってはマイナスかもしれないが、トワリンを助けたいなまえにとっては都合が良かった。ただ、ジンが言うようにモンド城内に被害が出た以上、人々の気持ちが変わりつつある可能性が浮上してきた。それによって騎士団の方針が変わるのも時間の問題かもしれない。
モンドが璃月や稲妻のようならまだしも、この国は絶対的な指導者がいないため、民衆の声は非常に反映されやすい。そういう側面があるせいで、いつ騎士団の方針が風魔龍を殺すことになるかはわからない。それまでになんとかまたウェンティに会わなければならない。それでトワリンに会う。彼に直接話を聞きたい。
森で動揺して話すことすらできなかったことをなまえは悔やんでいた。あの時になまえが話をしていたらトワリンはモンドを襲うようなことをしなかったかもしれない。それはもう済んだことだから、過去を変えることなどはできやしないけれど、それでもなまえはそう思わずにはいられなかった。なまえが考えている間にジンは暴風の源が四風守護の神殿にあると言い、作戦の方針を決めたようだ。
「――私たちの目標は、放棄された四つの神殿のうち、この三つだ」
三つだけの理由については……みんなも分かっていると思うが。そう言ってジンは話を聞く面々を見渡した。その表情は言うまでもないということがありありと見えて、ジンの言葉に頷く面々を見て彼女もまた一度頷いた。しかし、そのような当たり前だと思われる事実が分からないパイモンと空は頷けずにいた。
パイモンがその空気を壊さないように、でも小さな声で「分からないんだけど」とつぶやいたので隣にいたなまえが「あとで教えてあげる」と返した。それから、ジンの言葉によって放棄された遺跡へと向かうことになった。遺跡に向かうのはただの平騎士ではなく、偵察騎士、騎兵隊隊長、それに図書館司書といったこの場にいた面々である。図書館司書まで駆り出されている事態に人手不足はかなり深刻なものなのだとなまえは西風騎士団に同情した。
「君たちには迷惑をかけることになるが、手伝ってくれたことに感謝する。アンバー、リサ、ガイアをそれぞれ三つの神殿に先行させて調査させるから順番に彼らを手伝ってほしい」
順番は君たちに任せると言われて地図にマークをつけてもらってこの作戦会議は解散した。その後、西風騎士団の人々に個人的に少しだけ話をしてから三人は騎士団本部を後にした。