荒天の向こうから
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ウェンティと別れたなまえは風の翼を扱う空の姿を追いかけて、上空を見上げながら走っていた。だから、なまえを探すもう一人の姿に気づかなかった。
「なまえ!」
「アンバー? 無事でよかっ……うっ!」
名前を呼ばれて振り返ればアンバーが走り寄ってくる姿が見えた。そのままの勢いで抱き着かれて、思わず声が出た。その声にアンバーがハッと我に返ってぎゅっと抱きしめていたなまえから離れた。それからなまえの肩に手を置いて、なまえに怪我がないかと安全を確かめはじめる。
「大丈夫!? 怪我はない!?」
「う、うん。大丈夫!」
怪我がないことを確認するとアンバーはもう一度なまえを抱きしめた。
「本当に無事でよかった……! わたし、あんたに謝らなきゃいけないと思って……!」
そこでようやくなまえはアンバーが少し震えていたことに気が付いて、なまえもアンバーを落ち着かせようと優しく背中に手をまわした。
「でも、突然こんなことになって、あんたは飛ばされちゃうし……! わたし、本当に心配で……!」
「……ありがとう、アンバー」
なまえに抱き着いたままアンバーは叫ぶようになまえに自分の気持ちを伝えた。その態度にアンバーがなまえの思っている以上に心配していてくれたことを知って、なまえはなんだか心がじわじわと暖かくなるような感覚を覚えた。感謝と共に落ち着かせるために背中を撫でる。しばらくして落ち着いたアンバーはなまえから離れて事の経緯を話してくれた。
「あの後、なまえを助けるために旅人もパイモンちゃんも追いかけて行って……そうよ、旅人!! 彼が空を飛んでるのが見えたから、追いかけていたの!」
経緯を話す途中で空のことを思い出したアンバー。なまえが無事だった嬉しさと安堵でそのことが頭から抜けていたらしい。慌ててアンバーも空を追いかけていたことをなまえに教えてくれた。ということはやっぱり空の姿は多くの人に目撃されているということになる。アンバーの言葉でなまえたちは再び上空を見上げて空の姿を探して、追いかけた。
「ねえ、なまえ……旅人が風魔龍を撃退したの?」
「……たぶん、そうだと思う。アンバー、空たちは……」
「大丈夫、あの方向なら大聖堂の方だと思う!」
空の飛んでいる方向を見極めてアンバーはそう予想した。大聖堂へと向かうための最短距離を案内するとアンバーはなまえにそう話しながらふたりは走った。なまえとアンバーが大聖堂前の広場へといたる階段を昇り終わった時、丁度空が地に足をつけた所だった。パイモンも空の隣にいて、ふたりの姿を見たなまえは走って疲れていたことも忘れてしまった。
「空! パイモン!!」
「……なまえ!」
さきほどからウェンティ、アンバーと続けざまに抱き着いたせいでなまえのタガは外れていた。空に抱き着いたこともなかったのになまえは彼が無事だということに安堵と共に嬉しさもあって許可も得ずに空に抱き着いた。ウェンティやアンバーの言葉から、彼らがトワリンと対峙していたことは明白であり、彼が無事に地上へと戻ってこられてなまえはとても嬉しかった。空の気持ちも考えることなく、彼の存在を確かめるように抱きしめてしまった。
「良かった……!」
「……っ」
だから、なまえは気づかなかった。なまえに抱き着かれた空がまさに直立不動で身動きが取れなくなっていたことに。まさか抱き着かれるなんて思っているはずもなかった空がガチガチに固まっている様子に気づいたアンバーが声をかける。